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ハイジーア通信 クリニックハイジーア

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2006年04月29日

 

引き続き日産婦シンポジウムの概要です。

演題は5件ありました。

1件ずつ私なりに要約を書いてみます。


 

演題1 「妊娠期の低栄養の現状と改善への提言」

演者 国立保健医療科学院生涯保健部母子保健室長 滝本秀美先生

 

1.1980年から2000年にかけて、新生児の出生体重は140g減少している(3194g→3053g)。

2.同様に低出生体重児(2500g未満)の児の割合4.2から7.6増加している。

3.妊娠中の喫煙率1990年の5.6から、2000年は10.0増加している。

4.19762000年の間に「やせ(BMI18.5未満)」の女性の割合4人に1に増加している。

5.やせの妊婦で妊娠中の体重増加が少ない7kg未満と7-9kg)で、低出生体重児の割合が高い(最大15%)。

6.喫煙妊婦は非喫煙妊婦に比べて低出生体重児の割合が高い(約2倍)。

 

これらのデータの考察として

「若い女性の「やせ」の増加は、低出生体重児出産のリスクのある女性の増加につながっている可能性がある」

「妊娠中は、栄養学的な質が十分な食事をとり適切な体重増加を促すことと、禁煙を進めることが重要である」

ということでした。

 

 

これが現実です。

最近はとてもスリムな女の子が多いと思っていましたが、今回の発表でも実際に、若い世代で有意にやせた女性が増えていることが示され、そのような女性の生む子どもは出生時体重が少ない傾向があるということが示されました。

そんなにやせてて大丈夫?と言いたくなりますが、大丈夫ではなさそうです。

「やせ」=低栄養を意味し、これが児の長期的な健康状態に悪影響を与えるからです。

(「Barker仮説」についてはまた書きます)


また、妊婦の喫煙率が上昇していることも驚きました。

胎児は胎盤という細かい血管の集まりを通して母親から酸素や栄養分をもらっているので、タバコを吸うと血管が収縮し、胎児への酸素・栄養素の供給が低下します。その結果、児の発育は制限されます。

当たり前ですが、タバコは百害あって一利なし、です。

しかし、そのようにして口を酸っぱくしてやめろといってもやめられないのがタバコのようです。

あきれてしまいますが、これは母性の欠如なのか、精神的に未熟な妊婦が増えているのか。。

短い外来中に禁煙指導と言うのもなかなか難しいですし、悩むところですね…。

 

 

続く。

2006年04月26日

この週末に行われました、日本産科婦人科学会のシンポジウム「妊娠と栄養・代謝―妊娠中の適切な栄養管理をめざして―の内容です。


まず参加者に配られた資料より、シンポジウムの背景と目的を抜粋します。



シンポジウムの背景


1.胎児の発育、機能分化のための基質は全て母体の食事に依存している。


2.これらの基質が適切な時期に、適切な量供給されないときには、IUGR(子宮内胎児発育遅延)や巨大児となるだけでなく、神経管欠損など様々な異常をきたす。


3.近年の疫学的研究により、胎生期に栄養障害に曝された児は成長後に、肥満、耐糖能異常、高血圧、心血管障害など生活習慣病(いわゆるBarker仮説)の他、統合失調症や性格障害など精神神経系の発達にも影響することが報告されている。


4.一方、近年のわが国の若年女性は、過度のダイエットや偏食によるやせが増加しており、また一部では高脂肪食と運動不足による肥満も増加している。


5.これらのやせや肥満の女性が妊娠した場合、母体や胎児だけでなく、成長後の児にも多大の影響が発生する可能性がある。


シンポジウムの目的


わが国の若年女性を取り巻く栄養や生活環境の変化など、先に述べた背景に基づき、妊娠・分娩・産褥期のみならず、生涯にわたって健康な児を出産するために、妊娠中の適切な栄養管理を、基礎的ならびに臨床的視点から検討する。

 

 

というものです。

 

 

近頃の妊婦の栄養状態は、極悪と言ってもいいと思います。

タン白質不足鉄不足はほぼ必発で、貧血は当たり前。

(妊娠による貧血ではなく、妊娠する前から貧血なのです!)

ビタミンBや、カルシウム・マグネシム亜鉛などのミネラルも不足している人が多いです。

 

そんな状態で妊娠すると、母体は自分の体をまかなう分の栄養素すら足りていないのに、さらに胎児の体を作るために栄養素を供給しなければならなくなるわけで、それによりさらに母体の健康状態は悪化し、低栄養状態で生まれる子どもは低出生体重児や体の弱い子どもになってしまいます。

それだけでなく、そんな低栄養状態で育った子どもは、将来大人になってから成人病にかかるリスクが高くなってしまうのです。

そして困ったことに、その影響はさらにその子どもの次の世代へも続きます。

 

現代日本人の平均寿命が長いのは、今長生きしているおじいさんおばあさんの両親、さらにはそのまた両親の世代の食習慣・生活習慣が良かったことが影響しているのです。

今の若い世代から、平均寿命は確実に落ちると考えられます。そしてその子どもはさらに落ちるでしょう。

60歳くらいになるのではないかと言う人もいます。

これは、日本国家存続の危機である私は思っています。

 

産婦人科医が声を上げて妊娠中の栄養の重要性について啓蒙することも大切ですが、理想を言えば妊娠してから栄養管理をするのではなくて、妊娠前から気をつけるべき問題です。

ではこの危機を乗り越えるためには、一体、具体的にどうしたらよいのでしょうか?

 

私はそれに対する答えのひとつは、サプリメントを利用することにあると思っています。

(伝統的な日本食に回帰しろ、というのは完全には無理ですから!)

そのためには、医師をはじめとした医療従事者が正しい栄養の知識を持つことが必要ですし、アメリカ並みに一般消費者のサプリメントに対する認識が変わることが必要でしょう。

 

この問題は、実際にはすでに個人レベルを超えた国家規模の問題であると思います。

政治家の方々は、目先のことや食品業界の利益を中心にものを考えるのではなくて、国としてもっと危機感を持って対処してもらいたいと思います。

 

続きは追って書いていきます。




ちょっと固い話になっちゃいました 波

 

 

 

2006年04月24日

横浜パシフィコで行われている、日本産科婦人科学会総会(通称「日産婦」)に行ってきました。

 

私が聴きたかったシンポジウムは、「妊娠と栄養・代謝―妊娠中の適切な栄養管理をめざして―でした。

 

これが、ものすっごく面白かった。

素晴らしい研究結果を聴かせていただきました。

 

産婦人科医でかつ栄養療法を行っている私としては、まさに膝を打ちたくなるような興味深い研究内容ばかりでした。

 

皆さんは、「Barker仮説」というのをご存知でしょうか?

 

イギリスの疫学者David Barker氏の「成人病胎児期発症説」で、簡単に言うと「胎児期に低栄養であること(=母体が低栄養であること)が成人期における心血管系のリスク因子である」という説です。

 

産婦人科の世界でも今ホットな話題らしく、活発な論議が交わされていました。

主にはBarker氏の説を支持する研究結果でした。

また、妊娠初期に必要とされている葉酸(ビタミンB群の仲間)の話題、妊娠糖尿病とインスリン抵抗性の話題などが挙げられました。

とても面白かったので、後日概略を書きたいと思います。

 

Barker氏の説はこの本で読めます。

胎内で成人病は始まっている

デイヴィッド バーカー, David Barker, 藤井 留美, 福岡 秀興
胎内で成人病は始まっている―母親の正しい食生活が子どもを未来の病気から守る

 

 

さて、学会中懐かしい方々にも会うことができました。

一人は、私が研修に行っていた足利日赤病院産婦人科部長の春日義生先生。

(写真を撮っていただくのを忘れました)

ボケボケしていた私を温かく指導してくださった先生です。いつもニコニコ・飄々となさっています。

悪性腫瘍の手術もできれば周産期も内分泌も得意というオールマイティーな先生で、私が尊敬するドクターの一人です。

 

そして先輩と後輩にもばったり。写真を載せていいと言われたので載せちゃいます。


懐かしの再会

 

学会で楽しいのは、懐かしい面々に遭えるのと、書籍の販売です。


本屋さん


大きな学会にはほとんど医療専門の本屋さんが出店をしていて、その辺の本屋さんにはおいてない専門書や洋書やレアな本をいっぱい売っているので、ついつい色々な本を買ってしまうのです。


買っちゃいました。。


今回もいっぱい買っちゃいました 音譜

 

 

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トーマス・エジソン
(1847-1931)

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「冷えに効く漢方薬」のページでお話をさせていただいています。



妊娠中の栄養素の話の転載をしていただきました。



こちらも低血糖症の記事を転載していただきました。