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ハイジーア通信 クリニックハイジーア

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2006年05月31日

医学系の真面目な話を書こうとすると、「ちゃんと書かなきゃ!」と思って更新が遅れます。


お待ちの方がいらっしゃったら、気長にお待ちくださいね。


今日は冷房のせいか、お腹がしくしくするので早く寝ます。。。




悲しいvideo。

これは果たして対岸の火事でしょうか?

子どもや赤ん坊の悲惨な姿を見るのが一番応えます。

自分たちが戦争へ行ったら、全く同じことをしないと言い切れますか?

全ては一部の人間が利益を得るためだけなのに。




http://nobravery.cf.huffingtonpost.com/

 

 

2006年05月26日

日産婦シンポジウム「妊娠と栄養・代謝」の続きです。

 

やっと書き始めました。。。

 



演題3 妊娠中母体低蛋白栄養が胎児胎内プログラミングに及ぼす影響とその発現メカニズム

順天堂大学産婦人科 伊藤茂先生

 

 

私が特に同意した演題が、この演題と次の演題です。


4月26日のエントリで書きましたが、現在産婦人科を含めた医療の世界でホットな話題なのが(一過性のブームで終らないといいのですが!)、「Barker仮説」です。

 

Barker仮説」とは、「胎児期に低栄養状態であることが成人期における心血管障害のリスク因子である」と言う説です。

英国の疫学者Barker氏が広範な疫学調査を行ったところ、低出生体重児(2500g未満)で生まれた児は、成人になって心筋梗塞・糖尿病・高血圧などのいわゆる「生活習慣病」と呼ばれる疾患にかかる人が多かったことから、このような仮説を発表しました。(BMJ 307;1519.1993, Lancet,1(8489):1077,1986)

 

動脈硬化、高血圧、心筋梗塞、糖尿病などのいわゆる「生活習慣病」は、その名の通り「生活習慣」に原因があるとされています。もちろん遺伝的な原因もありますが、運動不足、カロリー過多、脂質過多、肥満、喫煙などが、これらの病気を起こすと一般的には考えられています。

しかし、このようなリスクファクターを持っていなくてもそれらの病気にかかる人も多く、その成因は不明な点が多かったのです。

そこでBarker氏は、イギリスで心臓病の多発する地域は貧しい地域が多かったことから、小児期、新生児期、はては胎児期までさかのぼって原因を追究していったところ、出生時体重が少ない(=母体が低栄養であった)児は、将来それらの疾患にかかりやすいことがわかったのです。


Barker氏の説は一見突拍子のない仮説に見えますが、この説を裏付ける研究結果が続々と発表されており、「Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD)学説」なるものに発展しています。これは「次世代(次々世代を含む)の健康および疾患の素因は、受精卵環境、胎内環境、乳児期環境で多くが決まる」という説です。


栄養療法の実践者としては至極納得できる話ですし、しかもかなり切羽詰った問題だと思います。

というのは栄養状態が悪い若い女性が本当に多いからです

日本人長寿神話は確実に崩壊しつつあります。

日本人の栄養に対する考え方を根本的に改めないとならない時代になっていると思います。


長いので続きは次回。

 

2006年05月24日


波のしぶきが巻き込まれるのが見える。


体が持ち上がって、あぶくの渦にまみれて飲みこまれそう、と思った瞬間、水の壁を突き抜けて水面が現れる。

水面から差し込む光を切り裂いて、体は先へ先へと向かっていく。

 

肩に、髪に、爪先に、水の圧力を感じ、それを利用して、自由自在に水の中を滑っていく。

体そのものがエッジの利いたボードのようになっている。

 

後ろは決して視界には入らない。

見えるのは、先にある海の中の光だけ。







Dolphin Glide




ジェネオン エンタテインメント
ドルフィン・グライド

http://www.laidback.co.jp/movies/surffilmfestival3.html

2006年05月22日

昨日たまたまTVをつけていたら「○る○る大辞典」が始まったので、なんとなく見ていたら、ビタミンCの特集だった。

 

この手の番組に対しては私はいつも、

「アマゾンの奥地でとれたナントカ芋」とか、「珍しいナントカから発見された超素晴らしい物質○×」みたいな非現実的な食べ物(もの珍しいけど人体(もしくは日本人)にとってあまり必要度が高くない食べ物)なんかを特集してないで、タン白質とかビタミンとかミネラルとかの基本的に人体に必要なをちゃんと摂るように啓蒙して欲しい!

と思っていたところなので、おおッ、やるじゃん!、と思ったのだが、いかんせんマス向けテレビ番組なので、曖昧な点が多すぎた。


だって、何を食べたら血中ビタミンC濃度がいくつ上がった、というデータは単位も出てないし、食事とサプリメントを比べて、もっとも血中濃度が維持されたのは食事だったから、ビタミンCは食事で摂るべきだ、と結論付けて、ジャガイモを食べよう!などと言っていたが、一体どんなサプリメントをどんな食事と比べたのかがさっぱりわからない。


そして、つまるところどれくらいビタミンCを摂ったらいいのか、というのが「100mg/1日」だというところで、ため息が出た。


厚生労働省が必要栄養処方量として1100mgと定めている以上、明らかに反することを言うわけにも行かないだろうから仕方がないだろうけど、残念ながら「健康状態を最適に保つ」と言う意味では、栄養で病気を治そうという立場から言わせていただけば、1100mgぽっちでは全然足りないのである。


ほかの栄養素も同様だが、必要所要量である1100mgというのは、栄養不足による欠乏症を防ぐ「最低限必要な量」でしかない。

ビタミンCの欠乏症は、ご存知「壊血病」である。

大航海時代、多くの船乗りが皮下出血・歯肉出血を起こし、やがて死亡した。

これは長い航海の間に起きたビタミンCの欠乏によって、コラーゲンの生成が傷害され、血管壁がもろくなることによるのだが、これは一杯のレモンジュースを配ることで解決した。

というのは今では常識になっていることだけど、それを最初に指摘したのはジェイムズ・リンドという開業医で、その時の“権威筋”に無視され、その後40年の間に何万人もの船乗りが命を落とした。

 

以上のように、「壊血病を防ぐ」と言う目的でなら1100mgも摂れば十分なのであるが、ビタミンCにはもっと多くの効能がある。

簡単に言えば、ビタミンCは「毒消し」だ。

活性酸素や過酸化脂質、体内異物、ウイルスなどと戦ってくれる、体内のもっとも頼もしい味方なんである。

ビタミンCの生理作用としては

 

(1)             抗酸化作用

(2)             コラーゲンの合成

(3)             ノルアドレナリンの合成

(4)             カルニチンの合成

(5)             胆汁酸の合成

(6)             生体異物の代謝

(7)             還元作用(鉄・葉酸など)

(8)             インターフェロンの生合成の促進

(9)             糖代謝改善

(10)         メラニン生成の抑制

(11)         鉄の吸収促進

(12)         ヒスタミン分泌抑制

(13)         免疫増強作用

(14)         ウイルス不活性化作用(10gの経口摂取で、次のウイルスの不活化が実証されている。 ポリオウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、コクサッキーウイルス、狂犬病ウイルス)

 

…などなどである。

栄養療法として、「欠乏症を防ぐ」と言う目的を超えて「生体機能を高める」ためには、1100mgぽっちでは不十分で、少なくともg単位が必要である。

ヒトはビタミンCを作る能力を失ってしまったが、ヒトと同じ体重のヤギは113000mgのビタミンCを体内で作る。ほかの動物も同様で、ヒトも同じくらいのビタミンCを摂取すべきであると考えられるのである。

この量をとろうと思ったら、当然食事からでは不可能なので、サプリメントが必要になってくる。

 

もちろん、食事を気をつけたほうがいいのは決まっている。

サプリメントもピンきりなので、質の悪いサプリメントを摂るくらいなら食事のほうがよっぽどましだ。

はっきりいって巷に流通しているサプリメントはあくまで「食品」なので、治療効果を期待することはできない。

一言でサプリメントと言ってもピン(治療用)とキリ(一般のもの)では似て非なるものなので、どんなサプリメントを番組で使ったのかTV局に聞いてみたいものである。

 

だから、若く健康で美しくいたい皆様は、113gはビタミンCをとりまSHOW(信頼できるサプリメントでね!)

起こる副作用は人によって下痢が起こるくらいである。



壊血病とビタミンCの歴史


ケニス・J. カーペンター, Kenneth J. Carpenter, 北村 二朗, 川上 倫子
壊血病とビタミンCの歴史―「権威主義」と「思いこみ」の科学史

2006年05月18日

すごいもの見つけちゃいました。


周産期医療の崩壊をくい止める会のリンクページより。


http://yu-net.info/swfup/viewswf.php/2280.swf


これはどなたが作っていらっしゃるのでしょうか??


間違いなく産婦人科医でしょうけど。。





医療ネタ書かずにすみません。。。


2006年05月17日

カナダ出身のメイル・ヴォーカリスト。若いけどうまいし渋い!


ひねくれものの私としては、こういうメジャー級正統派はどうなの?と思ったのだけど、聴いてみたらかなりぐっときてしまった。


デヴィッド・フォスターがプロデュースしているだけあって、女性のハートをわしづかみにするコツを心得ている!って感じ。


特に、4曲目の「Quand,Quand,Quand」は気持ちいい!

duetしているNelly Furtadoという女性シンガーとの絡みが最高。いい声です。こんな声を持ってたら歌手になってたのに。(えっ…)


そして5曲目の「Home」。思いっきり売れ線狙いだろう!という感じの曲なんだけど、これがまたいい。情緒たっぷりで切なくなります。


ジェイミー・カラムとどっちがいいかと言われたら、私はブーブレのほうがいいなあ。

彼のほうが、スイングしてる!って感じがするのよね。

いや、単にイケメンだからかもしれないけど(笑)。



2006年05月14日

私の西洋医学的な専門は産婦人科ですが、自分のクリニックでは栄養療法と漢方がメインなので、一般の産婦人科診療は行っていません。

しかし、お手伝いに行っている病院では分娩に立ち会ったり、通常の外来業務を行ったり、なんだかんだ言って周産期医療には関わっています。

まあ根が好きなんでしょう、きっと。


で、先日、久しぶりに早産の分娩に立ち会いました。


妊娠29週(8ヶ月)の妊婦さんで、全く早産の兆候はなかった様なのですが、早朝いきなりお腹が痛くなり、病院に来た頃には子宮口が全開して、膣内に胎包(赤ちゃんを包んでいる羊膜)が出てきている状態でした。

こうなるともう止めようがないので、近所に住んでいる待機のA先生を呼びだし、そしてH市小児病院に新生児搬送を依頼しました。


数日前の妊婦検診での赤ちゃんの推定体重は1200g

極低出生体重児(1500g未満)で、一般の開業医では小さすぎて診ることができない赤ちゃんです。

早産児(未熟児とは今は言わないのです)・新生児の専門の施設に搬送しなくてはなりません。


新生児科のドクターが乗った救急車が到着するまで、どんなに早くても小一時間はかかります。

案の定、救急車が間に合う前にお産になってしまいました。

でも待機のA先生がすぐに来てくれたので、私が産婦さんの診察や縫合をして、A先生が生まれた赤ちゃんの蘇生をしてくれました。

幸いなことに赤ちゃんはすぐ泣いてくれ、蘇生といっても酸素を流すくらいで済みました。

体重は1300gちょっとありました。

 

生まれて約20分後に救急車が到着しました。

新生児科の先生が神業のように、挿管(気管に人工呼吸のための管を入れること)して、点滴をしてくれました(ちっちゃい赤ちゃんの挿管や点滴は、とーっても難しいのです!)。

そしてお母さんとお父さんに説明をして、救急車で赤ちゃんを小児病院に連れて行ってくれました。

 

お母さんは泣いていました。

いきなりこんなことになって、大変なショックを受けてしまったのでしょう。

でも、この赤ちゃんは幸せです。

産科の医者が二人立ち会って、一人が赤ちゃんを手厚くケアしたこと。

そして新生児科の先生が来てくれて、専門の病院にすぐに連れて行ってくれたこと。

 

もし、産科の医者が一人しかいなかったら、産科医はお母さんと赤ちゃんの両方を診なければなりません。

当然具合の悪いほうを優先に診るわけですが、赤ちゃんにかかりっきりになっているうちにお母さんの出血が多かったりして具合が悪くなることもあります(これは早産でなくても同じですが…)。

また、新生児搬送を依頼したくても、日本全国、未熟児・新生児の入院施設は足りていないので、送りたくとも送れない、というシチュエーションはいくらでも考えられます。

 

29週、1300gで生まれたことは彼(男の子でした)にとって試練かもしれませんが、この時のシチュエーションでできる限りの最高のケアを受けることができたと考えられるのです。

 

今、産婦人科と小児科の医師は減少しています。

過酷な労働条件が、医師の産婦人科離れ・小児科離れを起こし、それがさらに条件を過酷にするという、負のスパイラルに陥っているのです。

今回助けを呼んですぐに来てくれたA先生は、かなりのお年です。

いくら待機と言えども、朝5時に叩き起こされ、文句も言わず病院に駆けつけ、分娩や帝王切開に立ち会う。

その働きぶりは、時々後光がさして見えるくらいです。

周産期医療は、こういう先生に支えられているのです。

しかしこのご時世、こんな超3K(きつい・汚い・危険)な職種につく人はそう多くありません。

勤務条件を良くしないと今後の周産期医療のなり手はいないでしょう。

そしてそのつけは結局患者さんに回ります。

安心して女性が妊娠・出産できるよう、国レベルでの改善を望みます。



周産期医療の崩壊をくい止める会

http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/wiki.cgi



(そういう私は産科以外で開業してしまったのであまり大きなことは言えないのですが…)

2006年05月09日

70年代のジャズ・ファンク。

こういうの大好き。格好いい。

詳しくは知らないのだけど、ジャズ界で活躍した女性フルート奏者だそうです。

歌も歌っているのだけど、声がすごく可愛い。

今でも全然古くないです。


いわゆるジャズ・ヴォーカルと言うのとはちょっと違うけど。

2006年05月05日

前回の続きで、日産婦シンポジウム「妊娠と栄養・代謝」の2つ目の演題、「妊娠女性・若年女性における葉酸栄養状況とその効果に関する研究」を要約します。


目的は、「わが国におけるNTD(神経管閉鎖障害)抑制に向けた葉酸栄養状況の問題点を抽出すること」ということです。ちょっと小難しいかもしれません。

葉酸とNTDについては前回のログをお読みください。



1 非妊娠女性において、血清葉酸・ホモシステイン値濃度を測定し、食事中の葉酸摂取量との相関、およびMTHFR(後述)の遺伝子多型との関連、葉酸サプリメント内服による濃度の変化を検討した。


(結果)非妊娠女性においてはMTHFR677-塩基多型により、血清葉酸・ホモシステイン濃度に格差が見られるが、葉酸サプリメントの投与(400μg/day)により格差改善の効果が認められた

非妊娠女性の食事からの葉酸摂取量は平均316μg/dayと良好であった。しかし葉酸摂取量と血清葉酸濃度の相関は弱く、非妊娠女性の場合、食事内容の改善では血清葉酸濃度の改善→NTDの抑制が期待できないことを示唆する。


 

2 同様の検討を妊娠中期の女性に対して実施。


(結果)妊娠中期女性の食事からの葉酸摂取量は十分でなく、平均275μgにとどまった。しかし食事内容と血清葉酸濃度・ホモシステイン濃度との相関は非妊婦より良好。妊娠(中期)女性では必ずしもサプリメントに頼らなくとも、食事指導による(血清葉酸濃度の)改善の余地がある考えられる。(*カッコ内は矢崎の補足)


3 妊娠女性にアンケートを実施し、厚生省の勧告を知っていたか、サプリメントを使用したかを調査し、背景因子との関連を検討。


(結果)妊娠前から妊娠初期に掛けて葉酸サプリメントを使用していた妊娠女性は13.5%に過ぎず、ここ数年著名に増加したとは言い難い。背景因子の解析では、もともとサプリメント類を使用する習慣のない女性の使用率が特に低率であることが注目される。



以上は配布資料の文章をほぼそのまま書いたものなので、わかりやすくなるよう解説してみます。


MTHFRMethylene Tetrahydrofolate Reductase)とは、10-メチレンH葉酸から5-メチルH葉酸への過程に作用する酵素で、この遺伝子に多型(異常が起きたりすること)があることが知られています。この遺伝子の異常があると、MTHFRの活性(利き方)が低下し、葉酸の活性型である5-メチルH葉酸の産生が減少します。それによりアミノ酸の一種であるホモシステインからメチオニンへの代謝が障害され、血中ホモシステイン濃度が高まり、NTD(神経管閉鎖障害)が引き起こされると言われています。

(しかしNTDの発生は多因子的なものであり、葉酸摂取のみで予防できるものではありません)


これはつまり、「体質によって葉酸の血中濃度が低くなりやすい人、すなわちNTDの発生率が高くなりやすい人がいる」、と言うことを意味します。


この遺伝子の異常を持たない女性、1つ持っている女性、2つ持っている女性では、葉酸・ホモシステインの血中濃度に差がありました。しかし、葉酸サプリメントを投与すると、各群とも葉酸濃度は上昇し、その差はなくなりました。

これは体質的に葉酸が低くなりやすい人でも、葉酸サプリを摂れば血中濃度はきちんと上昇するので、NTDの予防効果が期待できる、と言うことを意味します。


食事と血清葉酸濃度を調べた結果では、妊娠してない女性の場合、食事に気をつけても葉酸濃度は上がらない、=NTDの予防効果は期待できない、ということが示唆されます。

それに対して妊娠中期の妊婦では、食事に気をつければ葉酸濃度は上がるので、サプリメントを摂らなくても食事指導によって血中濃度の改善は期待できるようです。おそらく妊娠すると食事からの葉酸の吸収が良くなるのでしょう。

しかしこの調査は妊娠1620の妊婦で行われたので、妊婦と言ってもNTDの発生に重要な妊娠7週以前ではどうなのか、ということは検討されていません。


最後のアンケート調査は、妊娠前から葉酸サプリメントを摂っていた妊婦は1割強に過ぎず、啓蒙活動は(ほぼ全く)功を奏していない、と言うことです。これはサプリメント自体がまだそれほど市民権を得ていない、ということも背景にあります。



以上をまとめると、

NTDを抑制する(=葉酸血中濃度を上げる)ためには、食事指導は有効でなく、妊娠前からのサプリメントによる葉酸の摂取が必要である

しかし、妊娠しそうな女性たちにおける認知度は低く、かつ葉酸摂取をサプリメントで徹底させることは限界がある

ということです。

 

現在の日本の葉酸栄養についての問題点が浮き彫りになった形です。



まあそうだよね、と言う結果ですが、データできちんと示されたと言う事実が貴重です。

ということは、諸外国のように葉酸を食品に強制添加するしかないでしょ、という話なわけです。

会場では、カップ麺などのジャンクフードに添加すべきである、という意見が出されました。栄養のことなど考えたこともない若い人たちに今さらジャンクフードを食べるなと言っても無理ですから、そうするべきだと私も思います。

しかし、そうするには国家の強制力が必要ですが、日本人の食文化が崩壊し、栄養欠乏による健康被害が起きているという問題は、現実には放置されていますから、このまま時間がたてはNTDの赤ちゃんはどんどん増えるでしょう。

多分アメリカ並みに健康水準が悪くならないと、政府は動かないでしょうね。そうでなくても緊急的に解決すべき問題が山積みですから…。


まあ健康に対する責任を政府だけに求めても仕方ないので、後は自衛するしかないです。

自分や家族の健康を守るのは、自分しかいないのですから、私たち一人一人が自分の健康に責任を持つことが必要ですよね。

蛇足ですが、「CSI:マイアミ」という犯罪捜査を題材にした米TVドラマで、被害者女性の血清葉酸濃度が高いことから被害者が妊娠していたことがわかり、犯人逮捕に結びついた、というエピソードがあったくらい、アメリカでは「妊娠=葉酸」なわけです。

大体においてアメリカは反面教師であるわけですが、こういうところは見習うべきだと思います。


というわけで、このブログを読んだ方で健康な(少なくともNTDでない)赤ちゃんが欲しい、と思っている方は、是非葉酸を、少なくとも1400μgはサプリメントで摂取して欲しい思います(上限はアメリカCDC1mgと言っています(医師の管理下にある場合を除く))。

葉酸が足りないと言うことはそれ以外のビタミンも足りてないはずなので、マルチビタミン・ミネラルで摂ることをお勧めします。(*ビタミンAは混合カロテノイドの形で摂るのが良いでしょう)

ちなみに、次の演題に出てきますが、タン白質もきちんと摂ることを強くお勧めします。


ではまた次回 ロケット

2006年05月03日

某カップ麺のコマーシャルは非常に上手ですね。

アニメを使って、若者が商品をつい手に取りたくなるような印象的なCMを作っています。

若者の栄養状態をわざわざ悪くするような商品を、莫大な宣伝費用をかけて広告することは決して犯罪行為でも何でもないですし、どんな食べ物を食べるかは選ぶ消費者に責任があるのはもちろんですが、私たちはそういった宣伝広告にいかに大きな影響を受けているか(私が言いたいのは悪いほうですが)を認識する必要があります。

正しい知識を持ち、TVコマーシャルの奴隷にはならないことが必要です。

 

 

さて、日産婦のシンポジウムの続きです。

 

 

演題2 妊娠女性・若年女性における葉酸栄養状況とその効果に関する研究

演者 横浜市立大学付属市民総合医療センター 母子医療センター 石川浩史先生

 

 

要約する前に、まず葉酸と妊婦の関係についての背景を書いておきましょう。

 

日本における神経管閉鎖障害(Neural tube defect : NTD)の頻度が増加していることから、厚生省(現厚労省)は2000年に、「妊娠を計画している女性はバランスが取れた食事とサプリメントで1400μgの葉酸の摂取をすべきである」とし、その旨を患者に指導するよう都道府県や医師会などに勧告しました。

 

NTDとは、二分脊椎症や脊髄瘤、脳瘤、無脳症など、先天性の脳や脊椎の癒合不全を指します。

最も多いのは二分脊椎症で、胎生期に左右離れて発生した脊椎(背骨)がくっついて1本の脊柱管(背髄が入っている管)ができるのですが、それがうまくくっつくことができないという状態です。

症状が強い場合は、髄膜に包まれた脊髄が飛び出した状態(髄膜瘤)で生まれてきます。

髄膜瘤は大体は腰部にできるので、下肢や直腸・膀胱の神経麻痺を伴うことが多く、歩けなかったり、排尿・排便が自分でコントロールできない、などの障害を持つことになります。

私が大学病院の母子センターにいた時も、年に一人くらいはこういう赤ちゃんが入院したように記憶しています。

 

日本でのNTDの発生率は、19741979年で出産1万(死産を含む)対2.0程度だったのが、1998年には1万対6.0で、先進国では最も高い数値になっています。現在はもっと高くなっている可能性があります。

NTD葉酸というビタミンB群の仲間が不足していることが主な原因とされており、西欧諸国では妊娠可能年齢の女性の葉酸摂取量を増やすことで、NTDの発生率を低下させることに成功しました(ちなみにそのような政策を行う以前に最も高かったのは英国の1万対15でした)。

その反対に日本では増加の一途をたどり、結果的に先進国でNo.1というありがたくない現状になってしまったのです。

 

かつて西欧諸国に比べると格段に低かった日本におけるNTDの発生率は(人種による影響については不明ですが)、葉酸が十分足りていたことを意味しており、日本の食生活がそれだけ豊かであったことを示唆していると思います(もちろん葉酸の欠乏のみがNTDの原因とは言えないのですが)。

しかしこの数十年で、日本人の食生活は激変しました。その結果葉酸の摂取量が減少し、NTDがじわじわ増えると言う事態が起きているのです。

 

たかだか1万人に6人と言えど、そのような赤ちゃんが生まれた場合、本人はもちろん家族の負担は相当なものです。一生涯の医療費も相当かかるでしょう。

葉酸自体は廉価なものですから、それを補ってNTDが減らせるのなら、個人としても国家としてもメリットがあるというわけで、アメリカなどでは19911992年にすでに摂取を勧告し、小麦粉やシリアルなどに強制的に添加することを義務付けています。

 

ところが日本では、産婦人科によっては葉酸のサプリメントを推奨しているところもありますが、まだそれほど徹底した指導が行われているとは言えません。

これには根本的な問題があって、まず現場の医師に対する通達が不十分であるということと、妊娠が発覚して産婦人科にかかる頃にはもうその形成期(妊娠7週までが臨界期と言われています)を過ぎている場合が多いので、NTDを予防するという意味では、時すでに遅いわけです(もちろん葉酸自体はNTDの予防以外にも必要なビタミンなので、妊娠7週を過ぎてから摂取しても母体には有用で、無駄ではありませんが)。

 

ですから理想を言えば、妊婦に限らず妊娠可能年齢の女性にすべからく葉酸を十分量摂取して欲しいわけですが、そのためにはどのような対策をとるべきなのか、というのが、石川先生のご発表の要旨です。

 

長いので次に続きます。

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