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ハイジーア通信 クリニックハイジーア

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2006年07月08日

今日は、第7回国際統合医学会に参加してきました。

と言っても夕方遅めからの参加で、最後の方しか聴けなかったのですが。


アメリカのアンチエイジング医療の権威で、そのスジでは超有名なDr.Garry Gordonのお話が、やはり興味深かったです。


Dr.Gordon


知りませんでしたが、Dr.Gordonも、「分子栄養学の父」と呼ばれる偉大な科学者、ライナス・ポーリング博士によって、新しい医学の概念である分子栄養学の世界に「目を開かされた」そうです。

分子栄養学「Orthomolecular medicine」という概念はアメリカではポピュラーなんでしょうね。うらやましい限りです。

71歳とは思えない若々しさでした。


博士の講演は、主にRNAサプリメントを使ったアンチエイジングと、これからは「Nutritional Genomics」の時代だということでした。

個々の人間で異なる多様な遺伝子に合わせて栄養素を補給しよう、と言うことのようです。

遺伝子治療や、遺伝子に基づいた創薬などはすでに行われており、テーラーメード医療と呼ばれていますが、「ゲノムの次のフロンティアは栄養ゲノミクス」であるというのがアメリカの(Dr.Gordonの?)先端のようです。

私もそう思っていました。

いくら遺伝子治療が発展しようが、遺伝子を発現させるためには栄養素が必要です。

栄養素なしには人間の体は機能しないのです。

それにしても、遺伝子の違いに合わせて栄養素を摂ろうという発想は、栄養やサプリメントの意識の低い日本の医療界の現状からすると、あまりにも先の話しすぎて、ため息が出てしまいます。

遺伝子治療云々の前に、栄養素をちゃんと摂れ!!と言いたくなります。


最後のパネルディスカッションでも何人かの先生方(日本の)がおっしゃっていましたが、いまや世界は「統合医療の時代」です。

西洋医学だけでなく、東洋医学やハーブ、キレーション、栄養素など、様々な治療法を取り入れるのが世界の傾向であり、そうしないクリニックには患者が行かない傾向になっているそうです。

あまりにも現代西洋医学信奉で、これほど医者がサプリメントに理解がないのは、残念ながら日本だけです

「日本人は長寿で健康」神話に浸っているうちは、気がつかないのかもしれませんね…。


2006年07月05日

(前回のエントリ、日産婦シンポジウム「妊娠と栄養―妊娠中の適切な栄養管理をめざして」の演題3 、「妊娠中母体低蛋白栄養が胎児胎内プログラミングに及ぼす影響とその発現メカニズム」(演者:順天堂大学産婦人科 伊藤茂先生)の続きです)

 

 

以上を、簡単にまとめると

 

        母体のタン白質不足によって妊娠子宮の血流が低下する。


        新生児の体重に差はなくても、母体のタン白質不足は、将来子どもの高血圧を引き起こす。(可能性として動脈硬化・心筋梗塞・糖尿病などのいわゆる生活習慣病なども)そして卵巣ホルモン(エストロゲン)はそれを抑える方向に働く。


        母体のタン白質不足は、その子どもが妊娠した際にも胎児の発育不良を起こす

 

という可能性が示唆されたということです。

 

 

これはとても重要な実験結果だと思います。

私はこの実験結果には至極納得すると同時に、とても危機感を抱いています。

何故かと言うと、これは現実に起きていることだと思うからです。

 

このブログでは口を酸っぱくして言っているように、ほとんどの若い女性はタン白質が不足しています

現代人はタン白質を摂りすぎであると言われているのは、誤りです。

理由は、太ることを恐れていること(タン白質は太らないのですが、太ると誤解している人が多いのです!)や、コンビニやファストフードなど、手軽で安価な加工食品に頼る場合が多いからです。

タン白質に限らず、必要栄養所要量レベルの栄養素すら摂れていない人が多いと言われています。

そんな「隠れ栄養失調」の日本人が、特に妊娠中に、赤ちゃんのために(もちろん妊婦さん自身のためにも)手っ取り早くできること、それは「タン白質の摂取量を増やすこと」、つまり「肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などを、なるべく沢山食べること」です。

 

ではどのくらいタン白質を摂ったらよいのでしょうか?

成人が毎日に必要とするタン白質の量は「体重1kgあたり1g」なので体重50kgの人なら50gのタン白質毎日摂らなければなりません(成長期の子どもやスポーツ選手などはもっと必要です)

しかし、タン白質は生肉や生魚100g20含まれていますが、焼くとメイラード反応等の影響で約半分に減ってしまうため、100gのお肉を焼いて食べても、10g程度のタン白質しか取れません。

もし体重50kgの人がお肉だけを食べて1日に必要なタン白質を摂ろうと思ったら、500gのお肉を食べなければならないのです。

おにぎりにお茶、サンドイッチにサラダ、と言うような食事では、1日のタン白質の必要量を満たすことは不可能なのです。

 

特に妊婦・授乳婦は、胎児の発育と乳汁分泌のためにタン白質をより多く摂る必要があります。

1日あたり普段にプラスして1012gは余分に食べるべきです。

普通に食事から食べる分には、「食べ過ぎる」と言うことはまず起こりえません。

そして、私はベジタリアン自体は決して否定はしていませんが、

妊婦・授乳婦は、絶対に

ベジタリアン食をしてはいけません

妊婦がベジタリアン食をするのは、赤ちゃんにとっても妊婦・授乳婦さんにとっても、非常に危険なことです。

余程の知識があって、サプリメントで完全に栄養素が補えるのなら別ですが。

魚については、残留水銀の問題があるので、カジキやキンメダイなどの大きい魚は避けるべきでしょう。

ひとつの食材に偏らず、いろいろなものを組み合わせて食べるのが理想です。

 

私がみる限り、妊婦さんの低蛋白血症の比率は非常に高いです。(データは出していませんが…)

自分の体の分でさえ足りてないところへ来て、赤ちゃんの体を作るために自分の体のタン白質を壊してまで赤ちゃんにあげているわけですから、体は相当無理がかかっているはずです。

タン白質の予備がなければ、もし怪我をしたり出血をしたりしたら、なかなか治りにくく、出血も止まりにくくなります。

また、風邪を引きやすくなったり、湿疹などの皮膚のトラブルなどが起こる原因にもなりますし、当然むくみの原因にもなります。

また、低蛋白血症では、前置胎盤早期剥離などの異常が起こりやすくなると言われています。

このようなタン白質不足は、いいことは何一つなく悪影響を及ぼすのにも関わらず、栄養に関する意識が低い妊婦さんが多いこと、また現場の医師にも栄養の知識が足りないこと、現場が忙しすぎることなどから、見過ごされているのが現状です。

 

もちろん、妊娠中だけでなく、妊娠する前から、タン白質を充分に補って赤ちゃんに十分栄養を与えられる体にしておいた方が望ましいです。

タン白質は体を作る材料であり、「消耗品」ですから、必要量摂らなければ体蛋白の「異化と同化」のバランスを維持することができません。

タン白質が足りないことで、体の様々な機能に支障を来たすのは当然のことです。

くわしくはこちら

そして、知識が足りない(もしくは間違った知識に惑わされている)、または利便性と経済性を追求した結果、孫の代まで健康に悪影響を及ぼすことを、多くの人に知って欲しいと思います。

 

 

こんなことを言われると、「何を食べようと私の勝手!!」と言いたくなる方もいるでしょう。

このご時勢、妊娠出産するだけでも大変なことなのに、そんなことまで考えてやっていられない、と思われる方もいるかもしれません。

そういう気持ちも、わからないではありません。

でも、まずそういう知識をちゃんと知って欲しいこと、そしてできればできる範囲でいいですから、食事に気をつけていただきたいのです。

葉酸の話もそうですが、妊娠してからあわてて気をつけるよりは、妊娠前から栄養状態を整えておくのが理想です。

 

とにかく気をつけて欲しいのは、


何でもいいからとにかく心がけてタン白質を食べること


です。(本当は何でもいいわけではないですけど。。。(^_^;)

食事のときは、毎食必ずメインで肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などが、食卓に上るようにしてください。

そりゃあもうがっつり食べちゃってください。

もちろん野菜もちゃんと食べてくださいね!

お腹が空いたら、スナック菓子やケーキを食べる代わりに、ゆで卵や鳥のから揚げなどを食べるようにしたらいかがでしょうか?

体重が増えるのが気になる場合は、ごはん、パン、めん、菓子、甘い飲み物、砂糖など、炭水化物・糖質を控えることです。

お菓子を食べても、砂糖と添加物を食べてるだけで、なーんの栄養にもなりません。


妊娠中に必要なことは、体重コントロールのために「食べないように気をつけること」ではなく、「何を食べるか」なのです。

ちなみにこれは、妊婦さんだけでなく普通の女性一般に言えることですけれどね…。

 

 

2006年07月03日


間があいてしまいましたが(あきすぎです…)、日産婦シンポジウム「妊娠と栄養―妊娠中の適切な栄養管理をめざして」の続きを書きたいと思います。

 

5月26日のエントリの続編です。



胎児が低栄養下に置かれると、グルコース利用を最小限にするため胎児の筋肉量の減少や、膵臓のβ細胞の減少や腎臓のネフロン数が減少することなどが知られています。

このような子宮内環境の悪化に対する適応反応は、胎児期の生存には有利に働きますが、臓器や組織に起きた変化は永続的に続くため、出生後に高血圧、糖尿病、心疾患の発症リスクの増大などさまざまな影響を及ぼすことが指摘されており、胎児胎内プログラミングと呼ばれています。

つまり、胎児期の環境により、将来の体質や疾患の発症の素因がプログラミングされる、ということです。

こういった考え方は、Barker仮説の出現より発展した分野であり、HOTな研究テーマでありながら、臨床的な意義が深く、とても興味深いです。

これが全てではないにしても、単純な高コレステロール血症だけでは説明がつかなかった病態が解明されつつあるわけで、画期的なことです。

この胎児胎内プログラミングの機序を検討した研究です。

 


 

演題3 妊娠中母体低蛋白栄養が胎児胎内プログラミングに及ぼす影響とその発現メカニズム

順天堂大学産婦人科 伊藤茂先生

 

 

<実験目的>

 

     IUGR(子宮内胎児発育遅延)が将来の児の生活習慣病と関連していることは裏付けられているが、IUGRがなければ問題にならないのか否かを、以下の点で明らかにする


A.妊娠中の母体低蛋白栄養が子宮循環に与える影響

B.妊娠中母体低蛋白栄養がありながらIUGRのない児の、高血圧、冠動脈疾患に対する影響


     胎児起源説成人病の性差と卵巣ホルモンの関係


     次世代への影響―妊娠中母体低蛋白栄養があった児の次の妊娠に対する影響

 

 

<方法>

 

ラットを交配後、妊娠初日より、

食餌中のカゼイン(乳蛋白)18コントロール群(C群)と、

9低蛋白栄養群L:不足カロリーは糖質にて補填)の2群に分け、実験を行った。

 

実験1.


妊娠1819日でラットで安楽死させ、wire myographという方法で子宮動脈の血管内皮細胞機能を評価した。

また胎仔数・体重・胎盤重量も測定した。

 

実験2.


ラットを出産させ、両群の仔ラット(F1ラット)を、各々さらに日齢50卵巣を摘出した群(Oxと、卵巣を摘出しない偽手術を行った群(Oi)2群に分け、各群の血圧・体重を測定した。

日齢175180日で各群のラットの腸間膜動脈をwire myographにて評価した。

また心臓の冠動脈周囲の線維化を評価した。


C-Oi:コントロール群の仔で偽手術群

C-Ox:コントロール群の仔で卵巣摘出群

L-Oi:低蛋白栄養群の仔で偽手術群

L-Ox:低蛋白栄養群の仔で卵巣摘出群

 

実験3.


両群の仔ラット(F1ラット)を日齢70125で交配し妊娠させ、妊娠中の血圧・尿蛋白を測定した。

また妊娠2021日でその仔ラット(CLの孫ラット)の体重・胎盤重量を測定した。

 

 

<結果>

 

実験1


<胎仔数・体重・胎盤重量>両群間で差はなかった。


wire myographCと比較してLでは、VEGFに対する拡張反応の低下を起こし、妊娠中の子宮循環維持機能を低下させていることが示唆された。

 

実験2.


<新生仔数・出生体重>両群間で差はなかった。

 

<発育>生後の発育は50日目までは4群間に差はなかったが、50日以降Oxラットの体重はC群LともにOiラットに比較し有意に増加した(CLの間には差はなかった)。

 

<血圧>50日目までは4群間の収縮期血圧に差はなかったが、Lでは75日目から収縮期血圧が上昇し始め、125日目にはOxラットでCLの間に有意差を認めた。また175日目にはOiラットでもCとの間に有意差を認めた。

 

wire myographCに比較してLbradykinine(BK)に対する有意な拡張反応の鈍化を認めた。この傾向は卵巣摘出されたOxラットでより顕著であった。

 

<冠動脈>Lで冠動脈周囲の線維化は進行する傾向にあり、卵巣摘出により悪化の傾向が見られた。

 

実験3.


Lの仔ラットが妊娠した場合、妊娠中の血圧上昇は認めないものの尿蛋白は増加傾向にあった。

Lの仔ラットが妊娠した場合、有意に母ラットの妊娠中の体重増加が悪く胎盤および胎仔体重は小さい傾向があった。

 

 

<考察>


        生下時IUGRが存在しなくても妊娠中の胎内環境の悪化があれば、胎児胎内プログラミングを誘導する可能性が示唆された。


        卵巣ホルモン(エストロゲン)は胎児胎内プログラミングにより誘導される高血圧に対し抑制的に働くことが示唆された。


        胎児胎内プログラミングにより誘導された高血圧、冠動脈疾患はkinin-kallikrein系が深く関与していることが示唆された。


        妊娠中母体低蛋白栄養はその仔の妊娠にも何らかの影響を与えることが明らかとなり、胎児胎内プログラミングは次世代へ影響を与えることが懸念された。

 

 

 

解説は次回とします。





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(1847-1931)

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