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ハイジーア通信 クリニックハイジーア

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2006年07月20日

(前回のエントリの続きです。)

 

 


PMSが英国でこれほど社会的に認知されているのは、間違いなく英国ではPMS患者が多いからだろう。


そしてPMSが一端を担うと考えられる女性による問題(犯罪や家庭内暴力など)が、放置できないほど深刻だ、と言うことだ。

 


何故、英国ではこんなにもPMSが深刻なのだろうか?

 


私は、このような英国でのPMSの扱われ方を知ったとき、英国人の方には大変申し訳ないが、英国の栄養状態は相当悪いに違いない、と思わざるを得なかった。

 


以前に、母体の葉酸欠乏により起こる先天奇形である神経管閉鎖障害(NTDs)の問題を書いた。

妊婦に葉酸欠乏があると、発生の過程で胎児の神経管がきちんと閉じないで、二分脊椎症などのNTDsを持って生まれてくる率が高くなる。


NTDsの発生率はその母集団の葉酸の摂取状況を反映しており、つまりはその国の栄養状態を表すひとつの指標であると考えてよいだろう。


そしてNTDsを防ぐために世界的に葉酸を食品に添加するようになる以前に、もっともNTDsの発生率が高かったのは英国だった。


かつての日本での二分脊椎症の発生率は出生1万人に対し2人程度だったが、英国は15人だった。


その後、英国では食品への葉酸添加を行うという政策が取られ、その結果、1人程度に減少している。


その逆に日本では、NTDsはじわじわと増えており、1998年の時点で二分脊椎症は3-4人、NTDsは6人と、なんと先進国では最も発生率が高くなってしまった。


日本でNTDsが増えているのは、日本人の食生活が大きく変化し、栄養状態が着々と悪化している証拠のひとつだと言えるのだ。

 


私は英国に住んだことはないので、英国の食事情を実感としては知らないし、もしそうでないとおっしゃる方がいたら逆にご教示いただきたいのだが、かつての英国における二分脊椎症の発生率を見ただけで、私は英国人の食生活がどんなものなのか(だったのか)、瞬時に理解できた気がした。


ビタミンやミネラルを豊富に含んだ新鮮な野菜や、体を作る基本的な材料であるタン白質や、ホルモン環境を良い状態に保つためにはたらく良質な脂質などの栄養素が不足した、栄養学的に見て貧しい食事であろうということは、容易に想像できる。

 


そして、胎児の発育に支障を来たすほど、低栄養であること(カロリー=栄養ではない!)が当然、母体である女性自身の体にも変調を来たすであろうということは、至極納得のいく話なのだ。


PMSは、その現れに過ぎない、と私は思うのである。

 

 


続く。

 

 

 

 

2006年07月18日

ロンドンには、PMS専門クリニックがある。

 


それを知っただけでもちょっとした驚きだったのだが、それだけではなく、なんと英国では、PMSが殺人罪や放火罪における限定責任能力(*註)の理由として、また、他の刑事上および民事上の犯罪における減刑の理由として、受け入れられているそうだ。

 


(*註:精神遅滞・精神異常などの理由により犯罪者の刑法上の責任を減じること)

 

 

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キャサリーナ ダルトン, Katharina Dalton, 児玉 憲典
PMS法廷に行く―月経前症候群と女性の犯罪

 

 

 

 


これを知ったときは、結構驚いた。


日本ではようやくその言葉が知られつつあるPMSが、英国では30年ほども前から社会的に、女性が起こす問題、極端な場合、犯罪を犯す理由のひとつとして、認知されているということだ。

 


PMSとは、Premenstrual Syndromeの略で、日本語では月経前症候群と言う。

 


月経のある女性なら、程度の差こそあれ、月経前の体の変化を感じたことがあると思う。

 


むくみ、便秘、乳房の張り・痛み、下腹部の張り・痛み、だるさ、疲れやすい、眠気などの、身体的な症状から、イライラする、怒りっぽい、キレる、攻撃的になると言う人や、逆に、うつになる、情緒不安定になる、落ち込む、涙もろくなる、マイナス思考になる、やる気がなくなる、集中力や判断力がなくなる、食欲が亢進する、など、様々な精神的な変動を伴う。

 


重要なのは、そのような症状が「月経が始まる前に症状が反復してみられ、月経後には症状がみられない」ということだ。


月経後にも症状が存在するのであれば、それはPMSの症状ではない。

 


症状があっても軽い程度のものなら、あまり病的とはみなされないが、社会生活や家庭生活に支障を来たすほど、強い症状を持つと言う場合も少なくない。


もちろん、PMSのために自制が効かなくなり、犯罪を犯すような人たちは、その中のほんの一部(ダルトン女史によると0.1%)である。

 


心当たりがある、という方は多いと思うが、その有病率は、報告によってまちまちだ。


10%と言う人から95%と言う人もいる。要するにどの程度から病的とみなすかで違ってくる。


実際には自分の月経周期とその症状の関連性に気付いていない人も多く、自分がPMSだと気付いていない人も多い。

 


それにしても、この数年ほどで、PMSを訴える人は本当に多くなってきた感がある。


英国では法廷でもその存在が取り沙汰されるほど、その存在が知られているPMSが、なぜ日本では最近になって目立ってきたのだろうか?


日本では英国ほど多くなかったPMSが、実際に増えているのだろうか?


それとも女性の社会進出などを背景に、女性たちが今までは我慢していた症状を、表出するようになってきたのだろうか?

 

 

 


続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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トーマス・エジソン
(1847-1931)

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