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ハイジーア通信 クリニックハイジーア

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2006年11月04日

重度のPMSと考えられる症状で栄養療法をお受けになった患者様が、3ヶ月間の栄養療法を行って2回目の血液検査にいらっしゃいました。


患者様は、40代後半のキャリアウーマンの方です。


主訴は、月経開始日から11日~数日間の「貧血状態」(患者様の言葉です)、うつ症状、過眠傾向。


排卵後~月経前の時期になると、気力がなくなり、めまい、立ちくらみ、起きると頭の中が白くなる、起きられない、人に会いたくない、などの症状があり、引きこもりのような状態になり、受診時には仕事を休職されていらっしゃいました。


前回示したPMS/PMDDチェックリストでは、計33点の高得点(?)でした。


漢方薬数種類(加味しょう遥散など)、抗うつ剤数種類、低用量ピルなどによる治療を試しましたが、全くと言っていい程、効果がなかったそうです。
ピルでは逆に嘔気などが起き、具合が悪くなったとのことです(重症のPMSでは往々にしてそうなります)。


お困りになった患者様は、インターネットで私のクリニックをお探しになり、「最後の砦」と思って受診されたそうです。



お話を伺うと、患者様の知的レベルは高く、精神的にも安定していらっしゃり、症状の原因となるような精神・心理的な要因はないように思いました。


血液検査のデータでは、一般的な見方(基準値の中に入っていればOK)をすれば、全くと言っていい程、問題のないデータでした。

しかし、分子栄養学的に解釈すると、様々な栄養学的な問題が読み取れました。


・タン白質欠乏
・ビタミンB群欠乏
・鉄欠乏
・細胞膜障害

・胃酸分泌低下


などです。


この患者様には、データの分子栄養学的な解釈に基づき、タン白質を含めた総合的な栄養療法を施行させていただきました。


そして、3ヵ月間しっかり栄養療法をおやりになり、2回目の採血にいらした患者様は、非常に元気になられていました
症状はほとんどなくなり、なんと毎日ランニングをしている(!)という程でした。
そして休んでいた仕事にも復帰する予定だということでした。


チェックリストでは、前回33点だったのがなんと5点に減少していました。


具合が悪かった日数も、最も調子の悪い時期には月の半分は具合が悪かったのが、栄養療法を始めたその月からほぼ1~2日/月に減少していました。



血液検査のデータでは、非常に興味深い変化が見られました。


通常の「基準値の範囲内に収まっていれば問題ない」という解釈に基づいてみればほとんど問題ないと思われるデータでも、栄養療法で適切な栄養補給を行っていくと、様々な理由で隠れていた(マスキングされていた)本来の数値が現れてきます。


この患者様の場合、治療前には強い「血液濃縮」があり、それが改善されたことがわかりました。


タン白質が不足、特に膠質浸透圧の維持に必要なアルブミンが減少すると、血管内の水分量が減少するため、血液濃縮状態になります。(くわしくはこちら
この状態で総蛋白濃度を測っても、脱水時と同じで一見タン白質濃度としては高い数値が出るため、よほど低い数値でない限りタン白質不足を判断することはできません。


しかし、他の項目の数値からタン白質不足は明らかでしたので、栄養療法で補っていったところ、3ヵ月後のデータでは総蛋白濃度は逆に低下していたのです。


これは「タン白質が少ないから低下した」のではなく、タン白質の適切な摂取により血中アルブミンが上昇したため、血液中の水分量が増加し、循環血漿量が増加したことにより、総タン白濃度としては低下した、ということが考えられます。つまり、血液濃縮が改善した、と考えられるのです。


この患者様は、栄養療法前は、収縮期血圧が70という低血圧状態であったそうです。
タン白質不足で血液濃縮状態では、循環血漿量が減少していますから、低血圧になっても不思議ではありません。
また、女性に多い低血圧は、全てとは言えないと思いますが、実は「タン白質不足」が非常に深く関係しています。


「冷え性」も全く同じで、循環血漿量の減少により末梢循環が悪くなることが主な原因だと私は考えています。

そして循環血症量の増加とともに(循環血漿量が増加したこと自体を証明することはできませんが)、患者様の病状は良くなっていったと考えられるのです。
ちなみに現在の血圧は90~100くらいだそうです。


PMSがすべてこの患者様と同じような病態であるわけではありませんが、この方の場合タン白質不足が病態の大きな部分を担っていると考えられたのは、カウンセリング時に「とにかく食事でもタン白質を沢山食べるようにしてくださいね!」、という指導をさせていただいたのですが、サプリメントを飲み始める前から、食事でお肉や魚やタマゴなどタン白質をとるように心がけたところ、それだけでも体調は改善してきた、とおっしゃっていたのです。


もちろんタン白質不足だけが原因なのではなく、鉄欠乏やカルシウムなどのミネラル不足もあり、血液の質も低下していましたが、それらも栄養療法によって改善が見られました。
しかし血液濃縮の改善とともにヘモグロビン値の低下も見られ、貧血があったことも明らかになりました。
これらは他に要因が無ければ、最も考えられるのは「血液の材料不足」=「栄養欠乏」が原因なので、栄養療法で引き続き適切に栄養素を補っていけば、貧血も改善し、さらに良い健康状態を得ることができると思います。


この患者様の例は他にも示唆の多いケースでしたので、次回に続きます。

 

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トーマス・エジソン
(1847-1931)

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