課題発見者と課題解明者③
セリエ博士の本についての続きです。 (前回のエントリはこちら)
前回、Barker仮説についても言及しましたが、ちなみにこのBarker仮説(バーカー仮説)というのは、一般にはほとんど知られていないようです。
私は、非常~~に、重要な概念だと思っているのですが、私が話をさせていただいた雑誌以外で、マスメディアなどで取り上げられているのを見たことがありません。
妊娠可能年齢の女性に、
「子どもの将来の健康に影響するから、ちゃんと栄養を摂りなさいよ!!」
と口を酸っぱくして言ったところで、儲かる人があまりいないということでしょう。
「I’m lovin‘ it !」のコマーシャルと同じだけの時間、TVコマーシャルで流せば、日本の将来は確実に変わると思うのですが…。
さて、話は戻って、この本は決して「課題解明者より課題発見者のほうが優れている」ということを言いたい訳ではありません。
セリエ博士もおっしゃっていますが、副腎の存在を知ったからと言って、その後に引き続いて副腎の構造と機能、それが分泌するホルモンの単離と合成がなされなければ何にもなりません。
しかし、何かを発見しないことには新たな展開は得られない訳です。
そのような発見をするために必要な姿勢のひとつが、既成概念に囚われない、ということだと思います。
セリエ博士はこのようにも述べています。
「古風な博物学者流のやり方に対する世間の批判の第一は、何らのプランもなしに、また自分の感覚器官だけを用いて発見できる現象なら、もう全部誰かがすでに見つけて記載しているだろうといったところにあるようです。私はこの負け犬のような態度に組みしません。これと反対のことが毎日起きています。私はむしろ、それはいまはじまったばかりだと考えています。」
現代において私達は多くの既成概念に囚われています。既成概念に反した考えと言うのは「常識外である」「ものの本に載っていない」などの理由で否定されやすいものです。
そういう意味で「発見」というのはとても衝撃的で、意外性のあるものです。
セリエ博士のストレス学説、マーシャル博士のピロリ菌発見、バーカー博士のバーカー仮説など、どれをとっても、発表当初は奇想天外な説にしか見えなかったでしょう。受け入れられるのに相当な時間がかかったはずです。
そして今これに近い状態にあるのが、「低血糖症」の概念でしょう。
低血糖症に明らかな提唱者のような方がいるのかどうか、今それらに関係する本が手元にないので確かなことは言えないのですが(ごめんなさい)、低血糖症の概念はアメリカではだいぶ前から指摘されているようです。
糖質を摂りすぎることで血糖値が逆に低下する、というこの概念も、医学書には載っていないことなので、なかなか医療者には(むしろ医療者において特に)受け入れ難いものかもしれません。
しかし、低血糖症で苦しんでいる患者様がいらっしゃることは間違いようのない事実ですので、そのような既成概念に「負け犬のように組みする」ことなく、立ち向かっていかなければなりません。
(ちょっとオーバーですね…(^ ^ ゞ )
セリエ博士の本についてはまだまだ続きます。
コメント
12/8に受診予定のYOSHIです。
バーカー仮説についてですが、マンガに載ってましたよ。
講談社のイブニングという青年誌の連載「K2」に7月頃掲載されていました。
いつ頃単行本化されるかわかりませんが、御一報まで。
PS:少し汚れていますが、宜しければ病院にお送りしましょうか?
投稿者: YOSHI | 2007年11月21日 00:46
バイパス手術を終え、祖母が無事に退院しました。
1日でも長く家族と過ごせるように、家族全員で力を合わせて頑張ります。
本当にありがとうございました。
質問になってしまうのですが、消化不良ぎみなので、消化酵素を飲ませたいのですが、手術後どれぐらいの日数で大丈夫でしょうか?
ビタミン等のサプリメントももう大丈夫でしょうか?
もう、手術後2週間は経過しております。
担当医は代替療法に興味がないようでまともな回答が得られません。
よろしくお願いします。
投稿者: 北島一男 | 2007年11月21日 16:57
YOSHIさま
こんにちは。コメントありがとうございます。
ご親切にありがとうございます。
マンガになっていたんですね~。
K2って読んではいないですが、そのような有名なマンガに取り上げられるとは素晴らしいことですね。
わざわざお手を煩わせても申し訳ないので、お気持ちをありがたく頂戴します。
ありがとうございました。
気をつけておいでくださいね。
投稿者: 矢崎 | 2007年11月22日 18:47
北島様
こんにちは。手術無事に終ってよかったですね!
状況が良くわかりませんが、おばあさまは普通にお食事は召し上がれていらっしゃるのでしょうか?
そうでしたら飲んでいただいて大丈夫だと思いますが。。。
サプリメントを飲まれたほうが回復が良いと思いますよ。
それではお大事になさってくださいね。
投稿者: 矢崎 | 2007年11月22日 18:49
矢崎先生、こんばんは。
判りました、なるべく早めに送らせて頂きます。
ちなみに、このマンガは医療もので以前あった「スーパードクターK」の続編に当たるものです。
この回では、妊婦のダイエットに対して起こる低出生体重児の問題とバーカー仮説が取り上げられています。
それから質問なのですが、このHP(と言うかハイジーア通信)を見てから糖分の摂取を控えるようにしていますが、無性に甘い物が欲しくなる事があります。
そんな場合にノンシュガーの飴(甘味料と還元水飴を使っている物)やカカオ成分が高めの
チョコレート(90%台の物なら砂糖も控えてあるようです)というのは考え方として
有りなのでしょうか?完全に断ち切れると良いのですが、中々大変です。
宜しく御願い致します。
投稿者: YOSHI | 2007年11月23日 00:51
YOSHIさま
こんにちは。
ご遠慮申し上げたつもりでしたが、私の書き方が悪く伝わらなかったようですみません。
せっかくのお申し出ですが、お手間を取らせるのは忍びないので、送っていただかなくて大丈夫ですよ。
お気持ちだけ頂戴したく思います。ありがとうございました。
ご質問ですが、どうしても甘いものが食べたい場合は、人工甘味料で代替していただくと良いと思います。
しかしノンシュガーと書いてあっても水飴はよくないです。
チョコレートは、低血糖症の方はカフェインがダメな場合がありますのでお勧めはできません。
しかし、どうしても食べたくて我慢ができない…!というようであれば、ノンシュガーでキシリトールやエリスリトール、マルチトールなどで甘みをつけているチョコレートでしたらよいと思います。
探してみてください。
もしくは、炭水化物でもGI値が低い、さつまいもとか果物の甘さで我慢するかです(大量はよくないです)。
頑張ってみてくださいね。
投稿者: 矢崎 | 2007年11月23日 15:22
Thanks for sharing. What a plaesure to read!
投稿者: Jennabel | 2012年1月21日 21:44
SExtHY ejbypsodalju
投稿者: vbkxdbj | 2012年1月22日 17:14
UAIcaR I cannot thank you enough for the article.Much thanks again. Will read on...
投稿者: social | 2012年5月15日 02:34