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ハイジーア通信 クリニックハイジーア

妊娠・出産と栄養

2008年01月26日

 

お久しぶりでございます。

 

更新しないことに慣れてしまった今日この頃です。。

いけませんねぇ…(^-^;;

 

 

今日は、産婦人科医でもある私のツボにはまった、可愛いお話です。 

書きかけの話がいっぱいですみません。

 

 

妊娠中にサプリメントでしっかり栄養素を補って生まれてくる赤ちゃんは、栄養療法業界(?)では「ビタミンベビー」と呼ばれています。

 

お母さんのお腹の中で、十分な栄養素をしっかりもらって生まれてきた赤ちゃんは、そうでない赤ちゃんに比べるとトラブルも少なく、病気もしにくく、とても育てやすいと言われています。

 

妊娠中にビタミンB群と鉄を補って生まれた赤ちゃんと、そうでない普通の赤ちゃんと比べると、4歳でのIQが平均8違うと言うデータもあります。

 

以下は人づてに聞いた話なので、科学的根拠があるとは言い難いのですが、こんな話があります。

 

まだ言葉を理解しているとは考えにくい、でも自分で動くようになりはじめて危ない目に会う心配がある時期のビタミンベビーに、危ないから階段には近づかないように、とか、熱いからストーブにさわってはダメよ、などと、よ~~く言って聞かせると、ちゃんと言われた通りに注意を守るのだそうです。

 

赤ん坊なのに、大人の言っていることをちゃんと理解しているのではないか…、というわけです。

 

 

そして先日、妊娠9ヶ月の患者さまが受診なさった時の話です。

 

その方はもともと産後のうつ症状でおいでになられた方ですが、明らかに栄養不良の状態でいらっしゃり、栄養療法によってとてもよくなられました。

そしてめでたく次の赤ちゃんを授かられたのです。

 

サプリメントを飲んでいるのといないのでは、まったく体調が違う。。。ということで、妊娠中もサプリメントを飲み続けていらっしゃいました。

 

そんな先日、妊婦検診で、逆子であることがわかったそうです。

 

もし逆子のままだとこのご時世ではまず帝王切開になるので、その方はあわてて、お腹の赤ちゃんに「頭を下にするように」と言って聞かせたそうです。

 

そう言い聞かせた途端、いきなり赤ちゃんが元気よく動き出し、ひとしきり痛いくらいによく動いたそうです。

 

そして次の妊婦検診に行ったら、きちんと頭が下になって逆子が直っていたそうです。

 

ちゃんと言うことを聞いたのね~~!!と、患者さまと盛り上がってしまいました。

 

 

もちろん、ビタミンベビーでなくても逆子の多くは直りますから、ビタミンベビーだから逆子が直ったのだとは言えませんし、まったくの偶然かもしれないのですが、患者様にしてみると、赤ちゃんが言われたことを理解して動いたとしか思えないそうです。

 

また、今までのお子さんと比べると反応が違う…、とおっしゃるのです。

 

どちらにしても、お母さんに言われて、お腹の中で一生懸命動いている赤ちゃんの姿を想像すると、なんとも可愛いと思いませんか?

 

 

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胎児フェチですが、何か?(笑)

 

 

 

話はそれますが、小さな子どもが、お母さんのお腹の中にいた時のことや生まれた時のことを覚えていて、それについて話すのを聞いてビックリした、などという話をたまに聞きますが、私はありえる話だなあ、と思っています。

 

常識的に考えたら、胎児や幼児にそんな知能があるとはもちろん考えにくいのですが、人智を超えた「叡智」のようなものが、胎児や新生児や幼児には、ちゃんと宿っていると思うのです。

 

むしろ成長するにつれて、さまざまな理由で、そのような力が弱っていってしまうのではないでしょうか?

とくに現代人は…。

 

 

 

2007年09月07日

不妊症の治療のため、当院で栄養療法を行っていただいていた患者様が、この度めでたく妊娠されました。


42歳の患者様ですが、一般的な不妊の検査では特に問題はなかったということです。


しかし年齢のことも考慮に入れ、当院を受診される前までに、体外受精(顕微授精)を3回受けていらっしゃいました。


卵子の数は多くないものの、それなりによい卵子がとれ、受精もするのですが、妊娠には至らなかったということです。



当院での血液検査のデータでは、


・タン白質不足

・重度の鉄欠乏

・ビタミンB群欠乏

・亜鉛欠乏

・カルシウム不足

・低血糖の傾向


などを認め、明らかな栄養失調状態でした。

(ちなみに、一見栄養失調があるようにはまったく見えません(←私が拝見するとわかりますけど…))


これらの栄養不足があると、ホルモンの分泌や卵子の成熟、子宮内膜の増殖などに影響を及ぼし、生殖機能の低下を招き、不妊の原因となる場合があります。


血液データに基づいて栄養療法をやっていただいたところ、3ヶ月経つか経たないかのうちに、4回目の顕微受精で、見事妊娠されました。


患者様は、栄養療法を行って起きた変化として、


・基礎体温が上がった(高温期で37度前後になった)

・月経周期が25~26日と短かく、排卵日も11~12日目だったのが、今回は15日目に排卵した

・今までは卵子の数は3つだったのが、4つとれて、凍結保存に回すことができた


などがあったことを教えてくださいました。



私も本当に嬉しくて、患者様と抱き合って喜んでしまいました。


赤ちゃんが元気で無事に育ちますように… ヒマワリ





2007年05月30日


かのように見えましたが、そうではなかったようで安心しました。




周産期医学  2007年5月号 周産期から見た食育



去年の日本産科婦人科学会総会で、「妊娠と栄養」というシンポジウムが開かれたことは以前のエントリで書きましたが、飽きっぽい(?)日本人である私達のこと、またなかなか臨床で指導しにくい分野だけに、一時のムーブメントで終ってしまわないかと心配でした。


母体の栄養状態が生まれる赤ちゃんの将来の健康を左右するという「Barker仮説」から始まった、DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)という概念は、現実のものとして私達現代人の未来を揺さぶっていると思います。



・母体の低栄養(やせ)は低出生体重児を増加させる

・低出生体重は将来の児の、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病を引き起こすリスクファクターである

・胎児乳児期に形成された素因は第3世代(孫の代)まで影響を及ぼす

・母体低蛋白栄養は児の高血圧の発症機序である



簡単にまとめるとこんな感じです。


母体低栄養は児の脳の発育にも悪影響を及ぼすので、学習能力や情緒や行動などにも影響が起きるでしょう。

運動能力ややる気などにも影響してくるでしょう。



果たしてこのような問題を、由々しき事態だとして捉えている医療関係者はどのくらいいるのでしょうか?


また、政治家の方々は国の将来を左右する問題だと認識しておられるのでしょうか?


若い女性に食育を行おう…。しかし、一体誰がその舵を取るのでしょうか?



国の方針で医療費が削減されようとしている中、産科医は日々の激務の中でとてもではないけれど妊婦に食事の指導などしてられません。


助産師の存在はこういう時に力になると思いますが、それでもマンパワーがそこまで回せるという環境は限られているでしょう。



私は、微力ながら自分の関わる妊娠可能年齢の女性や、妊婦さんには栄養の大切さを啓蒙しているつもりですが、微々たるものだと痛感しています。



国として日本の将来がよりよくなるように、政治家の方々には真剣に政治に取り組んでいただきたい…、しかしそれを待っているのでは遅すぎるので、私たちが賢くなるしかありません。



2007年04月29日


昨日のカウンセリングではとても嬉しいことがありました。


挙児希望で栄養療法を開始され、3ヵ月後の2回目の採血にいらした患者様が、妊娠なさっていたのです!!


妊娠5週で、基礎体温も高く、他院での超音波にて胎嚢(赤ちゃんの部屋)も確認できたと…。


スタッフ中大喜びで、とてもハッピー 音譜 な気持ちにさせていただきました。



患者様は30代後半の方で、結婚後しばらく避妊をなさっていましたが、避妊をやめて1年たっても妊娠なさらず、生理不順、基礎体温の低音と高温の差がはっきりしない、冷え性、情緒不安定・・・などの症状がありました。


婦人科でクロミッド+タイミング療法を受けていましたが半年たっても妊娠せず、主治医の先生から人工授精をしましょうか…、と言われたという段階で、当院にいらっしゃったのです。



血液検査のデータは、まず貧血

そして極度の鉄欠乏で、鉄の貯金がほぼゼロと言っていい状態でした。


と言っても、通常の貧血の指標になるヘモグロビン値は11台で基準値内なので、普通は貧血とは指摘されません。


しかし、貯蔵鉄を見る項目(普通の病院では保険適応ではないのでチェックしません)を調べたところ、重度の鉄欠乏があったことが発覚したわけです。


本来はヘモグロビンは「基準値内に入っていればOK」なのではなく、特殊な事情(子宮筋腫による月経過多など)がなければ、女性であっても13は必要です。


貧血であるということは、確実にタン白質や鉄、ビタミンB群など「血液を作る材料が足りない」、すなわち「栄養失調」であることを意味します。


そのような状態では、当然冷え性などの循環不良を引き起こしますし、生殖機能にも影響を及ぼします。


良質な卵子や子宮内膜をつくるためにも、血液と同じように材料が必要な訳で、そのような環境が悪ければ当然不妊の原因となり得ます。


特に鉄はコラーゲンを作るために必要であり、不妊症の方の多くは鉄欠乏です(子宮の内膜は粘膜(=コラーゲン)ですから!)。


鉄だけでなく、タン白質・ビタミンA・B・C・亜鉛…、すべての栄養素が、妊娠の成立には必要です。


特に不妊や流産、胎児奇形などとの関連性が指摘されているのは、葉酸・ビタミンA・亜鉛・鉄あたりです。


(註:貧血がなければこれらの栄養素が充分ある、というわけではありません。詳細な解析が必要です)



この方は他に大きな原因がなかったので、栄養療法でこれらの悪条件が改善したことにより、人工授精も行わず自然に妊娠されたのだと考えられます。


2回目の血液データでは貧血の改善、貯蔵鉄の上昇など素晴らしい改善を認めましたが、まだ不足の状態でした。


妊娠中こそ、健やかな胎児の発育のために栄養素が必要なので、栄養療法の継続をおすすめしました。



無理せず、赤ちゃんが元気で育ちますように… ニコニコ

 



 

栄養療法による不妊治療についてはこちら




2007年04月06日


不妊治療をしている患者様が栄養療法を行うと、それまでには見られなかった様々な変化が起きてきます。


例えば、このようなことです。


①基礎体温の高低差がはっきりする

②低体温の傾向があった方は体温が上がってくる

③月経不順が改善する

④無排卵だった方は排卵する

⑤頚管粘液がよく出るようになる

⑥卵胞がよく育つ

⑦子宮内膜が厚くなる

⑧卵子の質が良くなる(体外受精の場合にのみ確認できます)

⑨精子の質が良くなる


・・・などなどです。


今日は基礎体温について考察(と言うほどではありませんが・・・)してみます。


基礎体温は、それまで排卵してはいるものの高温期にあまり体温が上がらず、低音期と高温期の差があまりはっきりしなかった方が、栄養療法を始めると、カッキ-ン! アップ と体温の差がはっきりしてきます。

これは黄体ホルモンの分泌が改善したことを意味すると考えられます。


また、不妊症の方は体温が低い方が多いのですが、全体的な体温も上がってきます。

低体温の原因自体が明らかでありませんが、代謝が低下していることが原因として考えられます。


分子栄養学的には、まず鉄欠乏による貧血(ヘモグロビンが基準値内でも隠れた貧血がある場合が多い)や、ビタミンB群などエネルギーを産生するための栄養素が不足していること、タンパク質不足などのため血液濃縮が起こり循環不良を起こしている、肉量の減少や運動不足による体温産生能力の低下などの原因が考えられます。


大体冷え性の方が多いのですが、このような方に栄養療法を行っていくと、体温が上がってきますし冷え性も改善します。

これは栄養素の至適量の補給により、代謝が改善し体温が作れるようになる、血行が改善する、などが理由と考えられます。


当然、基礎体温がはっきりしていなかったり、低体温では妊娠しやすい環境とは言えません。

栄養療法は直接ホルモンを投与したりするわけではもちろんありませんが、十分ホルモンを分泌できる環境に体内を整えることで、ホルモンの分泌をより適した状態に改善すると考えられます。


高度不妊治療を行ってもなかなか妊娠に至らない方が、栄養療法を行うと妊娠する場合が多々あるのは、このような体内環境の改善によるものだと言えるでしょう。


 




栄養療法による不妊症治療についてはこちら


2007年02月12日

なかなか更新できなくてすみません。



前回花粉症の話で、粘膜を丈夫にする必要性について書きました。


花粉症と言うと、粘膜の病気としてイメージしやすいと思いますが、人体には他にもいろいろな粘膜があります。


消化管はその代表的なものですが、実は女性にとって、地味ではありますが(目には見えないので)非常に重要なのが、子宮内膜です。



子宮内膜と言うのは、ご存知の通り子宮の内張りの膜のことで、そもそも赤ちゃんのベッドになるところです。


排卵に伴うホルモンの変動により、ほぼ毎月子宮内膜はふっくらと厚くなって、赤ちゃんを迎え入れる準備をします。


妊娠しなかった場合はいらなくなるので、毎月剥がれて血液と一緒に子宮の外に出て行きます。


これが月経です。


赤ちゃんを迎える(妊娠する)ためにはふかふかした気持ちいいベッドでなくてはならないので、言うなれば毎月シーツ交換しているようなものです。


このベッド(シーツ)の状態が、実は栄養状態によって非常に左右されるのです



子宮内膜の状態が良くないと困ることはいろいろあります。


一つは、着床と言って、受精卵(赤ちゃんになる細胞)が子宮内膜にきちんとくっつくかどうか、ということ。


原因不明の不妊症の場合、子宮内膜の状態がよくないことが原因の一つとして考えられます。



そして実は毎月の月経血の量にも関係してきます。


一昔前に比べると現代女性の月経血量は30gほど増えているそうですが、それは栄養状態の悪化によるものであると言う考え方があります。


生理痛(月経困難症)子宮内膜症などの原因とも考えることもできます。



粘膜のために大切な栄養素はいろいろありますが、鉄・ビタミンA・亜鉛・タン白質・ビタミンC・ビタミンB群などは特に大切だと考えられます。


現代人のの摂取量は昭和50年を境に激減しているのですが、鉄はコラーゲンを作るために必須であるため、鉄欠乏では子宮内膜に限らず、粘膜の萎縮や機能低下を引き起こすと考えられます。

(私のクリニックにいらっしゃる患者様で、月経のある女性のほとんどは鉄欠乏です)


また、ビタミンAも粘膜を健やかに保つために非常に重要です。

ビタミンAの不足では、ポリープができやすい(子宮・消化管などで)など、粘膜の病変が起きることが知られていますし、上皮性(粘膜など)の悪性腫瘍なども関連が深いと言われています。

また、子宮膣部異形成(子宮の前がん状態)などはビタミンAの大量投与で改善することが知られています。


亜鉛も細胞分裂に必須のミネラルであるため、皮膚や粘膜の健康には大きく関わっています。


また、コラーゲンと言えばビタミンCも非常に重要ですね。


もちろん粘膜そのものの材料としてのタン白質もとても重要です。


もちろんビタミンBビタミンEもとても大切です。



鉄にしろ亜鉛にしろ、ある栄養素が一度欠乏状態に陥ってしまうと、食事からそれらの欠乏を補うほどの栄養素を摂ることはまず不可能なので(ほうれん草108gには鉄が4mg含まれていますが、その吸収率は1.5%しかありません…)、栄養欠乏による病態を改善する「治療」と言う目的のためには栄養療法が必須と言えます。


しかしご自分でできることとして、普段の食事から気をつける簡単な方法は、


動物性タン白質をしっかり食べる


と言うことです。


簡単に言うと、「肉を食え!!と言うわけです(笑)。


タン白質・ビタミンA・亜鉛を同時に摂るのに最も良い食材は、動物性タン白質です。(くわしくはこちら


残念ながらヴェジタリアンではこれらの欠乏状態に陥る可能性が非常に高いのです。



動物性食品は体に悪い、というイメージがおありなら、それはばっさりと捨てていただきたいと思います。


それより余程体によくないのは、お菓子や砂糖をはじめとする精製された糖質・炭水化物である、と言うことを肝に銘じていただきたいと思います。

(このブログをよく読んでくださっている皆様はもうご存知ですよね… ひらめき電球




こんなお肉は食べなくてもね…

2006年07月05日

(前回のエントリ、日産婦シンポジウム「妊娠と栄養―妊娠中の適切な栄養管理をめざして」の演題3 、「妊娠中母体低蛋白栄養が胎児胎内プログラミングに及ぼす影響とその発現メカニズム」(演者:順天堂大学産婦人科 伊藤茂先生)の続きです)

 

 

以上を、簡単にまとめると

 

        母体のタン白質不足によって妊娠子宮の血流が低下する。


        新生児の体重に差はなくても、母体のタン白質不足は、将来子どもの高血圧を引き起こす。(可能性として動脈硬化・心筋梗塞・糖尿病などのいわゆる生活習慣病なども)そして卵巣ホルモン(エストロゲン)はそれを抑える方向に働く。


        母体のタン白質不足は、その子どもが妊娠した際にも胎児の発育不良を起こす

 

という可能性が示唆されたということです。

 

 

これはとても重要な実験結果だと思います。

私はこの実験結果には至極納得すると同時に、とても危機感を抱いています。

何故かと言うと、これは現実に起きていることだと思うからです。

 

このブログでは口を酸っぱくして言っているように、ほとんどの若い女性はタン白質が不足しています

現代人はタン白質を摂りすぎであると言われているのは、誤りです。

理由は、太ることを恐れていること(タン白質は太らないのですが、太ると誤解している人が多いのです!)や、コンビニやファストフードなど、手軽で安価な加工食品に頼る場合が多いからです。

タン白質に限らず、必要栄養所要量レベルの栄養素すら摂れていない人が多いと言われています。

そんな「隠れ栄養失調」の日本人が、特に妊娠中に、赤ちゃんのために(もちろん妊婦さん自身のためにも)手っ取り早くできること、それは「タン白質の摂取量を増やすこと」、つまり「肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などを、なるべく沢山食べること」です。

 

ではどのくらいタン白質を摂ったらよいのでしょうか?

成人が毎日に必要とするタン白質の量は「体重1kgあたり1g」なので体重50kgの人なら50gのタン白質毎日摂らなければなりません(成長期の子どもやスポーツ選手などはもっと必要です)

しかし、タン白質は生肉や生魚100g20含まれていますが、焼くとメイラード反応等の影響で約半分に減ってしまうため、100gのお肉を焼いて食べても、10g程度のタン白質しか取れません。

もし体重50kgの人がお肉だけを食べて1日に必要なタン白質を摂ろうと思ったら、500gのお肉を食べなければならないのです。

おにぎりにお茶、サンドイッチにサラダ、と言うような食事では、1日のタン白質の必要量を満たすことは不可能なのです。

 

特に妊婦・授乳婦は、胎児の発育と乳汁分泌のためにタン白質をより多く摂る必要があります。

1日あたり普段にプラスして1012gは余分に食べるべきです。

普通に食事から食べる分には、「食べ過ぎる」と言うことはまず起こりえません。

そして、私はベジタリアン自体は決して否定はしていませんが、

妊婦・授乳婦は、絶対に

ベジタリアン食をしてはいけません

妊婦がベジタリアン食をするのは、赤ちゃんにとっても妊婦・授乳婦さんにとっても、非常に危険なことです。

余程の知識があって、サプリメントで完全に栄養素が補えるのなら別ですが。

魚については、残留水銀の問題があるので、カジキやキンメダイなどの大きい魚は避けるべきでしょう。

ひとつの食材に偏らず、いろいろなものを組み合わせて食べるのが理想です。

 

私がみる限り、妊婦さんの低蛋白血症の比率は非常に高いです。(データは出していませんが…)

自分の体の分でさえ足りてないところへ来て、赤ちゃんの体を作るために自分の体のタン白質を壊してまで赤ちゃんにあげているわけですから、体は相当無理がかかっているはずです。

タン白質の予備がなければ、もし怪我をしたり出血をしたりしたら、なかなか治りにくく、出血も止まりにくくなります。

また、風邪を引きやすくなったり、湿疹などの皮膚のトラブルなどが起こる原因にもなりますし、当然むくみの原因にもなります。

また、低蛋白血症では、前置胎盤早期剥離などの異常が起こりやすくなると言われています。

このようなタン白質不足は、いいことは何一つなく悪影響を及ぼすのにも関わらず、栄養に関する意識が低い妊婦さんが多いこと、また現場の医師にも栄養の知識が足りないこと、現場が忙しすぎることなどから、見過ごされているのが現状です。

 

もちろん、妊娠中だけでなく、妊娠する前から、タン白質を充分に補って赤ちゃんに十分栄養を与えられる体にしておいた方が望ましいです。

タン白質は体を作る材料であり、「消耗品」ですから、必要量摂らなければ体蛋白の「異化と同化」のバランスを維持することができません。

タン白質が足りないことで、体の様々な機能に支障を来たすのは当然のことです。

くわしくはこちら

そして、知識が足りない(もしくは間違った知識に惑わされている)、または利便性と経済性を追求した結果、孫の代まで健康に悪影響を及ぼすことを、多くの人に知って欲しいと思います。

 

 

こんなことを言われると、「何を食べようと私の勝手!!」と言いたくなる方もいるでしょう。

このご時勢、妊娠出産するだけでも大変なことなのに、そんなことまで考えてやっていられない、と思われる方もいるかもしれません。

そういう気持ちも、わからないではありません。

でも、まずそういう知識をちゃんと知って欲しいこと、そしてできればできる範囲でいいですから、食事に気をつけていただきたいのです。

葉酸の話もそうですが、妊娠してからあわてて気をつけるよりは、妊娠前から栄養状態を整えておくのが理想です。

 

とにかく気をつけて欲しいのは、


何でもいいからとにかく心がけてタン白質を食べること


です。(本当は何でもいいわけではないですけど。。。(^_^;)

食事のときは、毎食必ずメインで肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などが、食卓に上るようにしてください。

そりゃあもうがっつり食べちゃってください。

もちろん野菜もちゃんと食べてくださいね!

お腹が空いたら、スナック菓子やケーキを食べる代わりに、ゆで卵や鳥のから揚げなどを食べるようにしたらいかがでしょうか?

体重が増えるのが気になる場合は、ごはん、パン、めん、菓子、甘い飲み物、砂糖など、炭水化物・糖質を控えることです。

お菓子を食べても、砂糖と添加物を食べてるだけで、なーんの栄養にもなりません。


妊娠中に必要なことは、体重コントロールのために「食べないように気をつけること」ではなく、「何を食べるか」なのです。

ちなみにこれは、妊婦さんだけでなく普通の女性一般に言えることですけれどね…。

 

 

2006年07月03日


間があいてしまいましたが(あきすぎです…)、日産婦シンポジウム「妊娠と栄養―妊娠中の適切な栄養管理をめざして」の続きを書きたいと思います。

 

5月26日のエントリの続編です。



胎児が低栄養下に置かれると、グルコース利用を最小限にするため胎児の筋肉量の減少や、膵臓のβ細胞の減少や腎臓のネフロン数が減少することなどが知られています。

このような子宮内環境の悪化に対する適応反応は、胎児期の生存には有利に働きますが、臓器や組織に起きた変化は永続的に続くため、出生後に高血圧、糖尿病、心疾患の発症リスクの増大などさまざまな影響を及ぼすことが指摘されており、胎児胎内プログラミングと呼ばれています。

つまり、胎児期の環境により、将来の体質や疾患の発症の素因がプログラミングされる、ということです。

こういった考え方は、Barker仮説の出現より発展した分野であり、HOTな研究テーマでありながら、臨床的な意義が深く、とても興味深いです。

これが全てではないにしても、単純な高コレステロール血症だけでは説明がつかなかった病態が解明されつつあるわけで、画期的なことです。

この胎児胎内プログラミングの機序を検討した研究です。

 


 

演題3 妊娠中母体低蛋白栄養が胎児胎内プログラミングに及ぼす影響とその発現メカニズム

順天堂大学産婦人科 伊藤茂先生

 

 

<実験目的>

 

     IUGR(子宮内胎児発育遅延)が将来の児の生活習慣病と関連していることは裏付けられているが、IUGRがなければ問題にならないのか否かを、以下の点で明らかにする


A.妊娠中の母体低蛋白栄養が子宮循環に与える影響

B.妊娠中母体低蛋白栄養がありながらIUGRのない児の、高血圧、冠動脈疾患に対する影響


     胎児起源説成人病の性差と卵巣ホルモンの関係


     次世代への影響―妊娠中母体低蛋白栄養があった児の次の妊娠に対する影響

 

 

<方法>

 

ラットを交配後、妊娠初日より、

食餌中のカゼイン(乳蛋白)18コントロール群(C群)と、

9低蛋白栄養群L:不足カロリーは糖質にて補填)の2群に分け、実験を行った。

 

実験1.


妊娠1819日でラットで安楽死させ、wire myographという方法で子宮動脈の血管内皮細胞機能を評価した。

また胎仔数・体重・胎盤重量も測定した。

 

実験2.


ラットを出産させ、両群の仔ラット(F1ラット)を、各々さらに日齢50卵巣を摘出した群(Oxと、卵巣を摘出しない偽手術を行った群(Oi)2群に分け、各群の血圧・体重を測定した。

日齢175180日で各群のラットの腸間膜動脈をwire myographにて評価した。

また心臓の冠動脈周囲の線維化を評価した。


C-Oi:コントロール群の仔で偽手術群

C-Ox:コントロール群の仔で卵巣摘出群

L-Oi:低蛋白栄養群の仔で偽手術群

L-Ox:低蛋白栄養群の仔で卵巣摘出群

 

実験3.


両群の仔ラット(F1ラット)を日齢70125で交配し妊娠させ、妊娠中の血圧・尿蛋白を測定した。

また妊娠2021日でその仔ラット(CLの孫ラット)の体重・胎盤重量を測定した。

 

 

<結果>

 

実験1


<胎仔数・体重・胎盤重量>両群間で差はなかった。


wire myographCと比較してLでは、VEGFに対する拡張反応の低下を起こし、妊娠中の子宮循環維持機能を低下させていることが示唆された。

 

実験2.


<新生仔数・出生体重>両群間で差はなかった。

 

<発育>生後の発育は50日目までは4群間に差はなかったが、50日以降Oxラットの体重はC群LともにOiラットに比較し有意に増加した(CLの間には差はなかった)。

 

<血圧>50日目までは4群間の収縮期血圧に差はなかったが、Lでは75日目から収縮期血圧が上昇し始め、125日目にはOxラットでCLの間に有意差を認めた。また175日目にはOiラットでもCとの間に有意差を認めた。

 

wire myographCに比較してLbradykinine(BK)に対する有意な拡張反応の鈍化を認めた。この傾向は卵巣摘出されたOxラットでより顕著であった。

 

<冠動脈>Lで冠動脈周囲の線維化は進行する傾向にあり、卵巣摘出により悪化の傾向が見られた。

 

実験3.


Lの仔ラットが妊娠した場合、妊娠中の血圧上昇は認めないものの尿蛋白は増加傾向にあった。

Lの仔ラットが妊娠した場合、有意に母ラットの妊娠中の体重増加が悪く胎盤および胎仔体重は小さい傾向があった。

 

 

<考察>


        生下時IUGRが存在しなくても妊娠中の胎内環境の悪化があれば、胎児胎内プログラミングを誘導する可能性が示唆された。


        卵巣ホルモン(エストロゲン)は胎児胎内プログラミングにより誘導される高血圧に対し抑制的に働くことが示唆された。


        胎児胎内プログラミングにより誘導された高血圧、冠動脈疾患はkinin-kallikrein系が深く関与していることが示唆された。


        妊娠中母体低蛋白栄養はその仔の妊娠にも何らかの影響を与えることが明らかとなり、胎児胎内プログラミングは次世代へ影響を与えることが懸念された。

 

 

 

解説は次回とします。





2006年05月26日

日産婦シンポジウム「妊娠と栄養・代謝」の続きです。

 

やっと書き始めました。。。

 



演題3 妊娠中母体低蛋白栄養が胎児胎内プログラミングに及ぼす影響とその発現メカニズム

順天堂大学産婦人科 伊藤茂先生

 

 

私が特に同意した演題が、この演題と次の演題です。


4月26日のエントリで書きましたが、現在産婦人科を含めた医療の世界でホットな話題なのが(一過性のブームで終らないといいのですが!)、「Barker仮説」です。

 

Barker仮説」とは、「胎児期に低栄養状態であることが成人期における心血管障害のリスク因子である」と言う説です。

英国の疫学者Barker氏が広範な疫学調査を行ったところ、低出生体重児(2500g未満)で生まれた児は、成人になって心筋梗塞・糖尿病・高血圧などのいわゆる「生活習慣病」と呼ばれる疾患にかかる人が多かったことから、このような仮説を発表しました。(BMJ 307;1519.1993, Lancet,1(8489):1077,1986)

 

動脈硬化、高血圧、心筋梗塞、糖尿病などのいわゆる「生活習慣病」は、その名の通り「生活習慣」に原因があるとされています。もちろん遺伝的な原因もありますが、運動不足、カロリー過多、脂質過多、肥満、喫煙などが、これらの病気を起こすと一般的には考えられています。

しかし、このようなリスクファクターを持っていなくてもそれらの病気にかかる人も多く、その成因は不明な点が多かったのです。

そこでBarker氏は、イギリスで心臓病の多発する地域は貧しい地域が多かったことから、小児期、新生児期、はては胎児期までさかのぼって原因を追究していったところ、出生時体重が少ない(=母体が低栄養であった)児は、将来それらの疾患にかかりやすいことがわかったのです。


Barker氏の説は一見突拍子のない仮説に見えますが、この説を裏付ける研究結果が続々と発表されており、「Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD)学説」なるものに発展しています。これは「次世代(次々世代を含む)の健康および疾患の素因は、受精卵環境、胎内環境、乳児期環境で多くが決まる」という説です。


栄養療法の実践者としては至極納得できる話ですし、しかもかなり切羽詰った問題だと思います。

というのは栄養状態が悪い若い女性が本当に多いからです

日本人長寿神話は確実に崩壊しつつあります。

日本人の栄養に対する考え方を根本的に改めないとならない時代になっていると思います。


長いので続きは次回。

 

2006年05月05日

前回の続きで、日産婦シンポジウム「妊娠と栄養・代謝」の2つ目の演題、「妊娠女性・若年女性における葉酸栄養状況とその効果に関する研究」を要約します。


目的は、「わが国におけるNTD(神経管閉鎖障害)抑制に向けた葉酸栄養状況の問題点を抽出すること」ということです。ちょっと小難しいかもしれません。

葉酸とNTDについては前回のログをお読みください。



1 非妊娠女性において、血清葉酸・ホモシステイン値濃度を測定し、食事中の葉酸摂取量との相関、およびMTHFR(後述)の遺伝子多型との関連、葉酸サプリメント内服による濃度の変化を検討した。


(結果)非妊娠女性においてはMTHFR677-塩基多型により、血清葉酸・ホモシステイン濃度に格差が見られるが、葉酸サプリメントの投与(400μg/day)により格差改善の効果が認められた

非妊娠女性の食事からの葉酸摂取量は平均316μg/dayと良好であった。しかし葉酸摂取量と血清葉酸濃度の相関は弱く、非妊娠女性の場合、食事内容の改善では血清葉酸濃度の改善→NTDの抑制が期待できないことを示唆する。


 

2 同様の検討を妊娠中期の女性に対して実施。


(結果)妊娠中期女性の食事からの葉酸摂取量は十分でなく、平均275μgにとどまった。しかし食事内容と血清葉酸濃度・ホモシステイン濃度との相関は非妊婦より良好。妊娠(中期)女性では必ずしもサプリメントに頼らなくとも、食事指導による(血清葉酸濃度の)改善の余地がある考えられる。(*カッコ内は矢崎の補足)


3 妊娠女性にアンケートを実施し、厚生省の勧告を知っていたか、サプリメントを使用したかを調査し、背景因子との関連を検討。


(結果)妊娠前から妊娠初期に掛けて葉酸サプリメントを使用していた妊娠女性は13.5%に過ぎず、ここ数年著名に増加したとは言い難い。背景因子の解析では、もともとサプリメント類を使用する習慣のない女性の使用率が特に低率であることが注目される。



以上は配布資料の文章をほぼそのまま書いたものなので、わかりやすくなるよう解説してみます。


MTHFRMethylene Tetrahydrofolate Reductase)とは、10-メチレンH葉酸から5-メチルH葉酸への過程に作用する酵素で、この遺伝子に多型(異常が起きたりすること)があることが知られています。この遺伝子の異常があると、MTHFRの活性(利き方)が低下し、葉酸の活性型である5-メチルH葉酸の産生が減少します。それによりアミノ酸の一種であるホモシステインからメチオニンへの代謝が障害され、血中ホモシステイン濃度が高まり、NTD(神経管閉鎖障害)が引き起こされると言われています。

(しかしNTDの発生は多因子的なものであり、葉酸摂取のみで予防できるものではありません)


これはつまり、「体質によって葉酸の血中濃度が低くなりやすい人、すなわちNTDの発生率が高くなりやすい人がいる」、と言うことを意味します。


この遺伝子の異常を持たない女性、1つ持っている女性、2つ持っている女性では、葉酸・ホモシステインの血中濃度に差がありました。しかし、葉酸サプリメントを投与すると、各群とも葉酸濃度は上昇し、その差はなくなりました。

これは体質的に葉酸が低くなりやすい人でも、葉酸サプリを摂れば血中濃度はきちんと上昇するので、NTDの予防効果が期待できる、と言うことを意味します。


食事と血清葉酸濃度を調べた結果では、妊娠してない女性の場合、食事に気をつけても葉酸濃度は上がらない、=NTDの予防効果は期待できない、ということが示唆されます。

それに対して妊娠中期の妊婦では、食事に気をつければ葉酸濃度は上がるので、サプリメントを摂らなくても食事指導によって血中濃度の改善は期待できるようです。おそらく妊娠すると食事からの葉酸の吸収が良くなるのでしょう。

しかしこの調査は妊娠1620の妊婦で行われたので、妊婦と言ってもNTDの発生に重要な妊娠7週以前ではどうなのか、ということは検討されていません。


最後のアンケート調査は、妊娠前から葉酸サプリメントを摂っていた妊婦は1割強に過ぎず、啓蒙活動は(ほぼ全く)功を奏していない、と言うことです。これはサプリメント自体がまだそれほど市民権を得ていない、ということも背景にあります。



以上をまとめると、

NTDを抑制する(=葉酸血中濃度を上げる)ためには、食事指導は有効でなく、妊娠前からのサプリメントによる葉酸の摂取が必要である

しかし、妊娠しそうな女性たちにおける認知度は低く、かつ葉酸摂取をサプリメントで徹底させることは限界がある

ということです。

 

現在の日本の葉酸栄養についての問題点が浮き彫りになった形です。



まあそうだよね、と言う結果ですが、データできちんと示されたと言う事実が貴重です。

ということは、諸外国のように葉酸を食品に強制添加するしかないでしょ、という話なわけです。

会場では、カップ麺などのジャンクフードに添加すべきである、という意見が出されました。栄養のことなど考えたこともない若い人たちに今さらジャンクフードを食べるなと言っても無理ですから、そうするべきだと私も思います。

しかし、そうするには国家の強制力が必要ですが、日本人の食文化が崩壊し、栄養欠乏による健康被害が起きているという問題は、現実には放置されていますから、このまま時間がたてはNTDの赤ちゃんはどんどん増えるでしょう。

多分アメリカ並みに健康水準が悪くならないと、政府は動かないでしょうね。そうでなくても緊急的に解決すべき問題が山積みですから…。


まあ健康に対する責任を政府だけに求めても仕方ないので、後は自衛するしかないです。

自分や家族の健康を守るのは、自分しかいないのですから、私たち一人一人が自分の健康に責任を持つことが必要ですよね。

蛇足ですが、「CSI:マイアミ」という犯罪捜査を題材にした米TVドラマで、被害者女性の血清葉酸濃度が高いことから被害者が妊娠していたことがわかり、犯人逮捕に結びついた、というエピソードがあったくらい、アメリカでは「妊娠=葉酸」なわけです。

大体においてアメリカは反面教師であるわけですが、こういうところは見習うべきだと思います。


というわけで、このブログを読んだ方で健康な(少なくともNTDでない)赤ちゃんが欲しい、と思っている方は、是非葉酸を、少なくとも1400μgはサプリメントで摂取して欲しい思います(上限はアメリカCDC1mgと言っています(医師の管理下にある場合を除く))。

葉酸が足りないと言うことはそれ以外のビタミンも足りてないはずなので、マルチビタミン・ミネラルで摂ることをお勧めします。(*ビタミンAは混合カロテノイドの形で摂るのが良いでしょう)

ちなみに、次の演題に出てきますが、タン白質もきちんと摂ることを強くお勧めします。


ではまた次回 ロケット

2006年05月03日

某カップ麺のコマーシャルは非常に上手ですね。

アニメを使って、若者が商品をつい手に取りたくなるような印象的なCMを作っています。

若者の栄養状態をわざわざ悪くするような商品を、莫大な宣伝費用をかけて広告することは決して犯罪行為でも何でもないですし、どんな食べ物を食べるかは選ぶ消費者に責任があるのはもちろんですが、私たちはそういった宣伝広告にいかに大きな影響を受けているか(私が言いたいのは悪いほうですが)を認識する必要があります。

正しい知識を持ち、TVコマーシャルの奴隷にはならないことが必要です。

 

 

さて、日産婦のシンポジウムの続きです。

 

 

演題2 妊娠女性・若年女性における葉酸栄養状況とその効果に関する研究

演者 横浜市立大学付属市民総合医療センター 母子医療センター 石川浩史先生

 

 

要約する前に、まず葉酸と妊婦の関係についての背景を書いておきましょう。

 

日本における神経管閉鎖障害(Neural tube defect : NTD)の頻度が増加していることから、厚生省(現厚労省)は2000年に、「妊娠を計画している女性はバランスが取れた食事とサプリメントで1400μgの葉酸の摂取をすべきである」とし、その旨を患者に指導するよう都道府県や医師会などに勧告しました。

 

NTDとは、二分脊椎症や脊髄瘤、脳瘤、無脳症など、先天性の脳や脊椎の癒合不全を指します。

最も多いのは二分脊椎症で、胎生期に左右離れて発生した脊椎(背骨)がくっついて1本の脊柱管(背髄が入っている管)ができるのですが、それがうまくくっつくことができないという状態です。

症状が強い場合は、髄膜に包まれた脊髄が飛び出した状態(髄膜瘤)で生まれてきます。

髄膜瘤は大体は腰部にできるので、下肢や直腸・膀胱の神経麻痺を伴うことが多く、歩けなかったり、排尿・排便が自分でコントロールできない、などの障害を持つことになります。

私が大学病院の母子センターにいた時も、年に一人くらいはこういう赤ちゃんが入院したように記憶しています。

 

日本でのNTDの発生率は、19741979年で出産1万(死産を含む)対2.0程度だったのが、1998年には1万対6.0で、先進国では最も高い数値になっています。現在はもっと高くなっている可能性があります。

NTD葉酸というビタミンB群の仲間が不足していることが主な原因とされており、西欧諸国では妊娠可能年齢の女性の葉酸摂取量を増やすことで、NTDの発生率を低下させることに成功しました(ちなみにそのような政策を行う以前に最も高かったのは英国の1万対15でした)。

その反対に日本では増加の一途をたどり、結果的に先進国でNo.1というありがたくない現状になってしまったのです。

 

かつて西欧諸国に比べると格段に低かった日本におけるNTDの発生率は(人種による影響については不明ですが)、葉酸が十分足りていたことを意味しており、日本の食生活がそれだけ豊かであったことを示唆していると思います(もちろん葉酸の欠乏のみがNTDの原因とは言えないのですが)。

しかしこの数十年で、日本人の食生活は激変しました。その結果葉酸の摂取量が減少し、NTDがじわじわ増えると言う事態が起きているのです。

 

たかだか1万人に6人と言えど、そのような赤ちゃんが生まれた場合、本人はもちろん家族の負担は相当なものです。一生涯の医療費も相当かかるでしょう。

葉酸自体は廉価なものですから、それを補ってNTDが減らせるのなら、個人としても国家としてもメリットがあるというわけで、アメリカなどでは19911992年にすでに摂取を勧告し、小麦粉やシリアルなどに強制的に添加することを義務付けています。

 

ところが日本では、産婦人科によっては葉酸のサプリメントを推奨しているところもありますが、まだそれほど徹底した指導が行われているとは言えません。

これには根本的な問題があって、まず現場の医師に対する通達が不十分であるということと、妊娠が発覚して産婦人科にかかる頃にはもうその形成期(妊娠7週までが臨界期と言われています)を過ぎている場合が多いので、NTDを予防するという意味では、時すでに遅いわけです(もちろん葉酸自体はNTDの予防以外にも必要なビタミンなので、妊娠7週を過ぎてから摂取しても母体には有用で、無駄ではありませんが)。

 

ですから理想を言えば、妊婦に限らず妊娠可能年齢の女性にすべからく葉酸を十分量摂取して欲しいわけですが、そのためにはどのような対策をとるべきなのか、というのが、石川先生のご発表の要旨です。

 

長いので次に続きます。

2006年04月29日

 

引き続き日産婦シンポジウムの概要です。

演題は5件ありました。

1件ずつ私なりに要約を書いてみます。


 

演題1 「妊娠期の低栄養の現状と改善への提言」

演者 国立保健医療科学院生涯保健部母子保健室長 滝本秀美先生

 

1.1980年から2000年にかけて、新生児の出生体重は140g減少している(3194g→3053g)。

2.同様に低出生体重児(2500g未満)の児の割合4.2から7.6増加している。

3.妊娠中の喫煙率1990年の5.6から、2000年は10.0増加している。

4.19762000年の間に「やせ(BMI18.5未満)」の女性の割合4人に1に増加している。

5.やせの妊婦で妊娠中の体重増加が少ない7kg未満と7-9kg)で、低出生体重児の割合が高い(最大15%)。

6.喫煙妊婦は非喫煙妊婦に比べて低出生体重児の割合が高い(約2倍)。

 

これらのデータの考察として

「若い女性の「やせ」の増加は、低出生体重児出産のリスクのある女性の増加につながっている可能性がある」

「妊娠中は、栄養学的な質が十分な食事をとり適切な体重増加を促すことと、禁煙を進めることが重要である」

ということでした。

 

 

これが現実です。

最近はとてもスリムな女の子が多いと思っていましたが、今回の発表でも実際に、若い世代で有意にやせた女性が増えていることが示され、そのような女性の生む子どもは出生時体重が少ない傾向があるということが示されました。

そんなにやせてて大丈夫?と言いたくなりますが、大丈夫ではなさそうです。

「やせ」=低栄養を意味し、これが児の長期的な健康状態に悪影響を与えるからです。

(「Barker仮説」についてはまた書きます)


また、妊婦の喫煙率が上昇していることも驚きました。

胎児は胎盤という細かい血管の集まりを通して母親から酸素や栄養分をもらっているので、タバコを吸うと血管が収縮し、胎児への酸素・栄養素の供給が低下します。その結果、児の発育は制限されます。

当たり前ですが、タバコは百害あって一利なし、です。

しかし、そのようにして口を酸っぱくしてやめろといってもやめられないのがタバコのようです。

あきれてしまいますが、これは母性の欠如なのか、精神的に未熟な妊婦が増えているのか。。

短い外来中に禁煙指導と言うのもなかなか難しいですし、悩むところですね…。

 

 

続く。

2006年04月26日

この週末に行われました、日本産科婦人科学会のシンポジウム「妊娠と栄養・代謝―妊娠中の適切な栄養管理をめざして―の内容です。


まず参加者に配られた資料より、シンポジウムの背景と目的を抜粋します。



シンポジウムの背景


1.胎児の発育、機能分化のための基質は全て母体の食事に依存している。


2.これらの基質が適切な時期に、適切な量供給されないときには、IUGR(子宮内胎児発育遅延)や巨大児となるだけでなく、神経管欠損など様々な異常をきたす。


3.近年の疫学的研究により、胎生期に栄養障害に曝された児は成長後に、肥満、耐糖能異常、高血圧、心血管障害など生活習慣病(いわゆるBarker仮説)の他、統合失調症や性格障害など精神神経系の発達にも影響することが報告されている。


4.一方、近年のわが国の若年女性は、過度のダイエットや偏食によるやせが増加しており、また一部では高脂肪食と運動不足による肥満も増加している。


5.これらのやせや肥満の女性が妊娠した場合、母体や胎児だけでなく、成長後の児にも多大の影響が発生する可能性がある。


シンポジウムの目的


わが国の若年女性を取り巻く栄養や生活環境の変化など、先に述べた背景に基づき、妊娠・分娩・産褥期のみならず、生涯にわたって健康な児を出産するために、妊娠中の適切な栄養管理を、基礎的ならびに臨床的視点から検討する。

 

 

というものです。

 

 

近頃の妊婦の栄養状態は、極悪と言ってもいいと思います。

タン白質不足鉄不足はほぼ必発で、貧血は当たり前。

(妊娠による貧血ではなく、妊娠する前から貧血なのです!)

ビタミンBや、カルシウム・マグネシム亜鉛などのミネラルも不足している人が多いです。

 

そんな状態で妊娠すると、母体は自分の体をまかなう分の栄養素すら足りていないのに、さらに胎児の体を作るために栄養素を供給しなければならなくなるわけで、それによりさらに母体の健康状態は悪化し、低栄養状態で生まれる子どもは低出生体重児や体の弱い子どもになってしまいます。

それだけでなく、そんな低栄養状態で育った子どもは、将来大人になってから成人病にかかるリスクが高くなってしまうのです。

そして困ったことに、その影響はさらにその子どもの次の世代へも続きます。

 

現代日本人の平均寿命が長いのは、今長生きしているおじいさんおばあさんの両親、さらにはそのまた両親の世代の食習慣・生活習慣が良かったことが影響しているのです。

今の若い世代から、平均寿命は確実に落ちると考えられます。そしてその子どもはさらに落ちるでしょう。

60歳くらいになるのではないかと言う人もいます。

これは、日本国家存続の危機である私は思っています。

 

産婦人科医が声を上げて妊娠中の栄養の重要性について啓蒙することも大切ですが、理想を言えば妊娠してから栄養管理をするのではなくて、妊娠前から気をつけるべき問題です。

ではこの危機を乗り越えるためには、一体、具体的にどうしたらよいのでしょうか?

 

私はそれに対する答えのひとつは、サプリメントを利用することにあると思っています。

(伝統的な日本食に回帰しろ、というのは完全には無理ですから!)

そのためには、医師をはじめとした医療従事者が正しい栄養の知識を持つことが必要ですし、アメリカ並みに一般消費者のサプリメントに対する認識が変わることが必要でしょう。

 

この問題は、実際にはすでに個人レベルを超えた国家規模の問題であると思います。

政治家の方々は、目先のことや食品業界の利益を中心にものを考えるのではなくて、国としてもっと危機感を持って対処してもらいたいと思います。

 

続きは追って書いていきます。




ちょっと固い話になっちゃいました 波

 

 

 

2006年04月24日

横浜パシフィコで行われている、日本産科婦人科学会総会(通称「日産婦」)に行ってきました。

 

私が聴きたかったシンポジウムは、「妊娠と栄養・代謝―妊娠中の適切な栄養管理をめざして―でした。

 

これが、ものすっごく面白かった。

素晴らしい研究結果を聴かせていただきました。

 

産婦人科医でかつ栄養療法を行っている私としては、まさに膝を打ちたくなるような興味深い研究内容ばかりでした。

 

皆さんは、「Barker仮説」というのをご存知でしょうか?

 

イギリスの疫学者David Barker氏の「成人病胎児期発症説」で、簡単に言うと「胎児期に低栄養であること(=母体が低栄養であること)が成人期における心血管系のリスク因子である」という説です。

 

産婦人科の世界でも今ホットな話題らしく、活発な論議が交わされていました。

主にはBarker氏の説を支持する研究結果でした。

また、妊娠初期に必要とされている葉酸(ビタミンB群の仲間)の話題、妊娠糖尿病とインスリン抵抗性の話題などが挙げられました。

とても面白かったので、後日概略を書きたいと思います。

 

Barker氏の説はこの本で読めます。

胎内で成人病は始まっている

デイヴィッド バーカー, David Barker, 藤井 留美, 福岡 秀興
胎内で成人病は始まっている―母親の正しい食生活が子どもを未来の病気から守る

 

 

さて、学会中懐かしい方々にも会うことができました。

一人は、私が研修に行っていた足利日赤病院産婦人科部長の春日義生先生。

(写真を撮っていただくのを忘れました)

ボケボケしていた私を温かく指導してくださった先生です。いつもニコニコ・飄々となさっています。

悪性腫瘍の手術もできれば周産期も内分泌も得意というオールマイティーな先生で、私が尊敬するドクターの一人です。

 

そして先輩と後輩にもばったり。写真を載せていいと言われたので載せちゃいます。


懐かしの再会

 

学会で楽しいのは、懐かしい面々に遭えるのと、書籍の販売です。


本屋さん


大きな学会にはほとんど医療専門の本屋さんが出店をしていて、その辺の本屋さんにはおいてない専門書や洋書やレアな本をいっぱい売っているので、ついつい色々な本を買ってしまうのです。


買っちゃいました。。


今回もいっぱい買っちゃいました 音譜

 

 

2006年04月14日

 

現代のホラーです。

 

西日本新聞社「食 くらし」取材班
食卓の向こう側 (別冊)

より抜粋。

 



 

中食(なかしょく)――――ラベルを見ていますか

 

「豚体実験はもうこりごりだ」

 

二年ほど前、福岡県内の養豚農家で、”事件”が起きた。

母豚のお産で死産が相次いだのだ。やっと生まれたと思ったら、奇形だったり、虚弱体質ですぐに死んだり。透明なはずの羊水はコーヒー色に濁っていた。

「えさだ」。ピンときた農場主は、穀物などもとのえさに変えた。徐々にお産は正常に戻ったが、二十五頭の母豚が被害に遭い、農場主は生まれるべき約二百五十頭の子豚をフイにした。

母豚が食べたのは、賞味期間が切れた、あるコンビニの弁当やおにぎりなど。「廃棄して処理料を払うより、ただで豚のえさにした方が得」と考えた回収業者が持ち込んだ。期限切れとはいえ、腐っているわけではない。「ちょっとつまもうか」と、農場主が思ったほどの品だった。

肥育用の子豚に与えれば、肉質にむらがでる。そこで母豚に、それだけを毎日三キロ与えた。農場主の計算では月二十万円のえさ代が浮くはずだったが、百十四日(豚の妊娠期間)後、予期せぬ結果が待っていた。

 

原因はわからない。だが、予兆はあった。与え始めて間もなく、母豚がぶくぶく太ったのだ。すぐに量を減らした。

獣医師によると、豚はストレスに弱いため、短期間(半年)に二~三回えさの与え方を変えただけでも、調子が狂うことがあるという。

「人間でいえば、三食すべてをコンビニ弁当にしたのと同じこと。それでは栄養バランスが崩れてしまう」と、福岡県栄養士会長で中村学園短大教授の城田知子。

一般的なコンビニ弁当は高脂質で、濃いめの味付け、少ない野菜。毎食これで済ませたら…。

家庭にはない食品添加物も入っている。「腐る」という自然の摂理から逃れるには、何らかの形で人の手を加えなければならない。例えば、おにぎりを「夏場で製造後四十八時間もつ」ようにするには、添加物などの“テクニック”が要る。だが、そのおかげで、私たちはいつでもどこでも、おにぎりをほおばることができるのだ。

 

二〇〇三年のコンビニ業界の市場規模は約七兆三千億円。全国に一万店舗を展開する業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンの販売構成比を見ると、弁当、パン、清涼飲料水、カップラーメンなど四分の三が食品だ。利用者は同社だけで年間延べ三十六億人。コンビニが「家の台所」化しているのは、決して若者だけではない。

同社など、食品管理を工夫して添加物を減らそうとするメーカーもある。中食(弁当、惣菜)が生活の中に定着しているからこそ「中身に関心を持ってほしい」。添加物に詳しい阿部司52)は力を込める。

「商品に張られたラベル(内容表示)を見て自分で判断するか、確かな材料を手に入れて自分で作るか。食は自己責任。年間約八千人が交通事故死しているからといって、社会から車を追放せよ、とならないのと同じことだ」

 

平和が戻った養豚農家。昨年は約二千頭の子豚が、母豚の腹から当たり前のように生まれてきた。

「豚体実験はもうこりごりだ」。農場主はうんざりした顔で言った

 

 

 

産婦人科医として、今も何人もの妊婦さんを診ているけれど、彼女たちの健康状態は、決して良いとはいえない。体調の悪い、不健康な妊婦のなんと多いことか。つわり、便秘、貧血、切迫流産・切迫早産、皮膚のトラブル、妊娠中毒症、肥満、やせ、難産、低出生体重児、胎児の先天奇形、…etc。妊娠に伴うトラブルは、大きいものから小さいものまで、妊婦の栄養状態と無関係ではない。生まれてくる赤ん坊が「自分が食べたもので作られている」という認識は、もしかしたら彼女たちにはあまりないのかもしれない。自分の体が自分が食べたもので作られているという感覚すらも、希薄に見えるのだから。でもそれはきっと妊婦だけではなく、いまの日本人の平均的な姿なのだろう。

この話は、決して“他人(豚?)事“ではない、と思うのは私だけだろうか?

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未来の医者は薬を使わず、食事を重視し、病気の本来の原因を探し、予防するという、人間の基本を大切にして治療をするであろう。
トーマス・エジソン
(1847-1931)

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