課題発見者と課題解明者①
先日ご紹介したセリエ博士の本の続きです。
かの有名なストレス学説を提唱したセリエ博士は、当然ノーベル賞を授与されたものとばかり思っていたのですが、意外や意外、授与されていないと知って驚きました。
新たな創薬に結びつきにくい(=莫大な金銭を生み出しにくい)このような発見は、業界的に認められにくいのであろうかと、いらぬ邪推をしてしまいました。
さて、この本の内容でいくつか興味深かったことがありましたが、「課題発見者」と「課題解明者」という概念についてです。
「発見」と「解明」。
これらは科学の進歩においてはなくてはならないものです。
これらは「直感」と「知性」という対比にも置き換えられます。
セリエ博士はこの本の中で若い研究者に向けて、「直感を大事にせよ」ということを訴えています。
医学をはじめとする自然科学の分野において、新たな概念を発見するためには、精密な機械や念入りなプランよりも、注意深い観察と自然に対する直感的感性に助けられることの方がずっと多い、とセリエ博士は述べています。
研究活動をしている自然科学者をタイプに分けると、第一のタイプは、直感的感性をもって自然を観察し、構造的細目(ディテール)よりもむしろ新しい構成的全体に関心を払う人たちです。
このタイプがセリエ博士言うところの「課題発見者」です。
第二のタイプは「課題解明者」であり、この人たちはすでに知られているところから出発し、それを解体してその構成とメカニズムを解明しようとする人たちです。
続きます。
(エントリが長くなって散漫になりがちかつ更新が滞りがちなので、小出しにすることにします(笑))