一昨日の続きです。

セリエ博士のこの本読んでみたい!とおっしゃってくださる方が多かったのですが、これは研究者向けの講演の内容をまとめた本なので、一般の方にはやや難しいかもしれません。

(ねずみちゃんの可哀想な写真もてんこ盛りですし…(^^;)

ストレス関連の本に関してはお勧め本をおいおいアップしていきたいと思います。

さて、医学における様々な発見、例えばメンデルの法則、ペニシリンの発見などは、観察と直感によって明らかになりました。

アレキサンダー・フレミング卿が細菌を培養している時に、培養皿にカビが紛れこみ、その周りに細菌がいないことを示す丸い輪ができました。
フレミング卿はそれを見て、カビの作った物質が細菌を殺したのであり、これは伝染病との闘いに使用できるかもしれない、と閃いたのでした。

それまでにもその事実をを観察していた研究者は沢山いたはずですが、誰もカビが有用な殺菌性物質を作っているのだとは考えなかったのです。

彼の直感がその概念を導き、ペニシリンの発見に至ったのでした。

このような新たな概念の発見は、一般的にはなかなか受け入れられにくいものです。
メンデルの法則もペニシリンの発見も、発見した当初は全く注目を浴びず、他の研究者がその重要性に気がつくまで歴史の狭間に埋もれていたのでした。

最近のそのような新たな発見と言えば、ノーベル賞授与が記憶に新しいピロリ菌の発見などもありますが、発想の転換、という意味で「目からウロコ」ものだったのが「Barker仮説」でしょう。

Barker仮説とは、「胎児期に低栄養状態であることが成人期における心血管障害のリスク因子である」とする説です。

心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病などのいわゆる「生活習慣病」が、胎児期の母体の栄養状態によって左右されるという、極めて反常識的(!)なこの概念は、1980年代にはすでに提唱されていましたが、最初は受け入れられにくかったようです。

しかしあまたの研究者がこの仮説を立証する研究データを次々と発表し、今では、
DevelopmentalOriginsofHealthandDisease(DOHaD)学説」として定着しています。

この概念を発表したBarker博士は「課題発見者」であり、追随してそれを裏付ける研究を行った研究者は「課題解明者」ということになるでしょう。

続きます。

 

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