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顔つぶれても輝いて

顔つぶれても輝いて

江崎 ひろこ
顔つぶれても輝いて―ステロイド軟膏禍訴訟6年の記録

ステロイド皮膚症の日本初の医療裁判の手記だそうです。

争われた内容に関してはわかりにくい部分も多いのでコメントが難しいですが、著者の精神力の強さに感嘆します。

また、本の内容をそのまま受取るとすれば、医者仲間であっても、「これはないよなあ~…」と思ってしまうような医師のあり方に嘆息します。

アトピー性皮膚炎は、難しい。

治療の困難さということもさることながら、現代西洋医学において常識とされている治療と、患者側の求めるものとの間にある「彼我の断絶」を象徴している病気、という気がしてならない。

アトピー性皮膚炎は複雑な病気だと思う。
原因が多岐に渡っているだけあって個人差も大きいし、一筋縄には行かない。

一般的な皮膚科的な立場からしたら、「ステロイドを塗ればよい」のだから、単純な話かもしれないのだが、本当にただ「ステロイドを塗ればよい」だけなのだろうか?と、皮膚科の専門医でもない私は素朴に疑問に思う。

ステロイドはとても素晴らしい薬である。
ステロイドによって、沢山の患者さんが(アトピーに限らず)恩恵を受けてきたことは確かだろう。
しかし、薬とは基本的に体にとっては毒物である。
薬の切れ味がよければよいほど、副作用の心配をする必要がある。

もちろん、そんなことは使う医師も分かっていて、どんな薬であってもそのメリットとデメリットを天秤にかけてメリットが勝っている場合にのみ薬を使うというのが投薬の基本なわけだけれど、アトピー性皮膚炎における「即効で症状が良くなる」という表面的(と私は思う)な魅力のために、根本的な治療があまりにもないがしろにされているのではないだろうか。

「根本治療」という言葉もまたいろいろな意味合いを持つけれど、ステロイドが根本治療でないことだけは確かである。

 

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