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PMS(月経前症候群)

2007年09月23日

 

月経前症候群とは、最近よく知られるようになって来ましたが、とても多くの方がお悩みになっている病態です。

 

名前の通り、月経周期の排卵後~月経前(~月経中)に限って、様々な症状が起こり、 月経が来ると治ってしまう、というのが特徴です。

 

当然ですが、女性にしか起こらない病気であり、なかなか周囲の理解を得ることが難しいのも、患者さまにとってストレスになるようです。

 

今日は、月経前症候群でお悩みの20代後半の患者様についてです。

 

来院時の主訴は、生理2週間前頃から起こる、

 

・気分の落ち込み

・体が重くなる

・引きこもりがちになる

・朝起きられない

・絶望的になる

・ニキビができる

・下腹部がはる

 

などの症状でした。

 

PMS/PMDDのチェックリストでは、47点!の高得点(?)でした。

 

血液検査のデータでは、

 

・タン白質不足

・鉄欠乏

・ビタミンB群不足

・低血糖の傾向

・亜鉛不足

・低コレステロール

・胃酸の分泌低下

 

などの所見が認められました。

 

食事内容も、糖質に偏った、栄養欠乏を起こしやすい内容のようでした。

 

この方に、サプリメントの処方と食事指導をさせていただき、3ヶ月栄養療法に取り組んでいただきました。

 

そして、先日2回目の採血の結果のカウンセリングをさせていただいたところ、月経前症候群の症状はほとんどなくなっていらっしゃり、初診時には47点だったチェックリストが、なんと0点!になっていました。 

 

栄養状態も大変素晴らしく改善していらっしゃいました。

 

しかし、月経周期と関係なく落ち込みやすい感じと、生理痛がまだあること、血液データからもまだ不足があることから、継続して栄養療法を行っていただくことになりました。

 

食事の改善も大変素晴らしく、食事の内容を写真にとってアルバム風にまとめたものを送ってくださり、努力なさっていることがとてもよく伝わってきました。

 

個人差はありますが、このように長く苦しんでいらした月経前の症状が、栄養療法を行うと、最初の3ヶ月位で、スカッと治ってしまうことは結構多いのです。

 

 

月経前症候群の原因は良くわかっていないといわれています。

 

ホルモンのアンバランスが原因ではないかと言われ、低用量ピルの処方などが良く行われていますが、重症な人ほどピルではかえって具合が悪くなることが多いです。

 

漢方薬の処方も、体に合っていて症状が取れればそれで良いと思いますが、なかなか改善が難しいものです。

 

私に言わせれば、月経前症候群は、「栄養失調」と「低血糖症」です。

 

これらによる体内環境の悪化により、ホルモンの変動というストレスに体がついていけない状態になっているのです。

 

多くの患者様が、ご自分の体調と栄養の状態を関連付けて考えることをしていただけば、多少なりとも改善される方が多いのではと思います。

 

 

月経前症候群についての考察はこちらをお読みくださいませ☆

 

 

 

2006年11月05日

前回のPMSの患者様の話の続きです。



このような患者様のケースをお話しすると、「相当食事が悪かったんじゃないの!?とお思いの方がいらっしゃるかもしれません。

それが、決してそんなことはないのです。


この患者様にはとてもお料理上手なお母様がいらっしゃり、和食中心のとても素晴らしいお食事を(うらやましいくらいです!)毎日きちんとしていらっしゃったのです。


たとえば・・・


(朝食)
ごはん、味噌汁、納豆、しらす、かつお節、梅干など


(昼食)
休職してからは食べないことが多かった


(夕食)
寿司、煮物(がんもどき・厚揚げ・里芋・人参など)
 または
鮎の塩焼き、ちらし寿司、豆腐
 または
刺身、もずく、さつま揚げ、トマト、レタス、ごはん
 など



量はどうなのかという問題もありますし、私から見ればタン白質が全然足りていないのですが、常識的に考えれば大変きちんとした食事をしていらっしゃると思います。

しかし、一見理想的なこのような食事をなさっていても、栄養欠乏は起こりうる、ということです。


そしてそうなってしまう原因のひとつには、「妊娠・出産」があります。


この方は20年ほど前に出産をしていらっしゃり、その前は体力もあってものすごく元気だったのが、出産をしてから強い体力の衰えを感じたそうです。


胎児を育てる、ということは女性にとって栄養欠乏を来たす大きな原因になります。


母体は胎児に自分の体を犠牲にしてまでも、栄養を与えます。


母の愛、ということもできますが、逆に言えば、胎児は母体の栄養を容赦なく「奪っていく」とも言えます。


ともかく妊娠するということは、自分の体を壊してまで赤ちゃんに栄養を与えてしまう、

究極の異化亢進状態

と言えるのです。


この時に、自分の体はもちろん、赤ちゃんの体を作るための栄養素を十分摂っていなければ、母体はどんどん磨り減っていくことになるので、栄養欠乏を来たすこと必至です
そして何人も子どもを産めば、それが積み重なっていくのです。


また、それでも赤ちゃんに十分な栄養素をあげられるのなら報われるというものですが、赤ちゃんにあげる栄養素も不足していたとしたら、赤ちゃんの発育や健康にも悪影響を及ぼすことになります。


自分の体を維持する分に加え、赤ちゃんを育てるのに必要な量の栄養素をちゃんと摂れていたならば、当然こんなことは起こりません。


しかし、妊婦さんを拝見していると、それができているかというと、できている方はほとんどいません。


自分ひとりの体に必要な栄養素すら摂れていないのに、赤ちゃんの分まで摂るということは実際にはかなり困難です。


そもそも、妊娠しようがしまいが、若い女性の方のほとんどが、栄養のことをあまり気にかけていないように思います。


こういう状態では、妊娠中のトラブル(貧血など)や、産後のうつや体調不良、更年期障害様の症状、体型の崩れ、産後太りなどを引き起こします。


これらのトラブルは、「妊娠出産する以上、仕方ない」というような風潮がありますが、栄養素を消費する以上に摂ってさえいれば、「決して起こらない」のです。


残念ながら、妊娠・出産を含めいろいろな理由で、一度栄養欠乏に陥ってしまったら、食事でそれを改善しようと思ってもかなり困難です。


だから、栄養療法が必要になるのです。



悲しいことに、一般の医療関係者には「栄養欠乏」の概念がありませんので、その方の症状がもしうつ症状なら抗うつ剤、不眠であれば睡眠薬、痛みであれば鎮痛剤と、対症療法をするしかありません。


それで症状が良くなるならラッキーですが、それでは決して根本的な解決にはならないのです。




そしてもうひとつ、この患者様はとても嬉しいことをおっしゃってくださいました。


患者様が当院に受診なさって、当院の治療方法・栄養療法等について説明を受けただけでも、とても楽になったと言うのです。


おそらくそれまでは「何をしても良くならない」という不安や焦りなどがあり、そのような精神的なストレスは症状に拍車を掛けていたことでしょう。


しかし、栄養療法と言う治療法があり、それで良くなる可能性がある、と思っただけで、精神的に楽になり、症状が軽減したと言うことが考えられます。


それだけで治ったわけではもちろんありませんが、私たちは強い自信を持って栄養療法を行っています。


もちろん、100%良くなります!と言うことはできませんし、当院にいらっしゃるような患者様は難治症例の場合が多いので、困難なことが多いことも確かです。


しかし、現代医学でいかんともしがたい病態が栄養療法でよくなることはとても多いのです。


「治療者の自信」というのは患者様にとってもプラスに働きます。


治療する側が、「この治療で本当にいいのだろうか?」「本当に患者様が良くなってくれるのだろうか?」と、自信のない状態では、患者様も不安になります。


このような症例を沢山診せていただいているから、私たちも、頑張って栄養療法をしていただけば良くなりますよ…!!と、自信を持って患者様を勇気づけることができるのです。





2006年11月04日

重度のPMSと考えられる症状で栄養療法をお受けになった患者様が、3ヶ月間の栄養療法を行って2回目の血液検査にいらっしゃいました。


患者様は、40代後半のキャリアウーマンの方です。


主訴は、月経開始日から11日~数日間の「貧血状態」(患者様の言葉です)、うつ症状、過眠傾向。


排卵後~月経前の時期になると、気力がなくなり、めまい、立ちくらみ、起きると頭の中が白くなる、起きられない、人に会いたくない、などの症状があり、引きこもりのような状態になり、受診時には仕事を休職されていらっしゃいました。


前回示したPMS/PMDDチェックリストでは、計33点の高得点(?)でした。


漢方薬数種類(加味しょう遥散など)、抗うつ剤数種類、低用量ピルなどによる治療を試しましたが、全くと言っていい程、効果がなかったそうです。
ピルでは逆に嘔気などが起き、具合が悪くなったとのことです(重症のPMSでは往々にしてそうなります)。


お困りになった患者様は、インターネットで私のクリニックをお探しになり、「最後の砦」と思って受診されたそうです。



お話を伺うと、患者様の知的レベルは高く、精神的にも安定していらっしゃり、症状の原因となるような精神・心理的な要因はないように思いました。


血液検査のデータでは、一般的な見方(基準値の中に入っていればOK)をすれば、全くと言っていい程、問題のないデータでした。

しかし、分子栄養学的に解釈すると、様々な栄養学的な問題が読み取れました。


・タン白質欠乏
・ビタミンB群欠乏
・鉄欠乏
・細胞膜障害

・胃酸分泌低下


などです。


この患者様には、データの分子栄養学的な解釈に基づき、タン白質を含めた総合的な栄養療法を施行させていただきました。


そして、3ヵ月間しっかり栄養療法をおやりになり、2回目の採血にいらした患者様は、非常に元気になられていました
症状はほとんどなくなり、なんと毎日ランニングをしている(!)という程でした。
そして休んでいた仕事にも復帰する予定だということでした。


チェックリストでは、前回33点だったのがなんと5点に減少していました。


具合が悪かった日数も、最も調子の悪い時期には月の半分は具合が悪かったのが、栄養療法を始めたその月からほぼ1~2日/月に減少していました。



血液検査のデータでは、非常に興味深い変化が見られました。


通常の「基準値の範囲内に収まっていれば問題ない」という解釈に基づいてみればほとんど問題ないと思われるデータでも、栄養療法で適切な栄養補給を行っていくと、様々な理由で隠れていた(マスキングされていた)本来の数値が現れてきます。


この患者様の場合、治療前には強い「血液濃縮」があり、それが改善されたことがわかりました。


タン白質が不足、特に膠質浸透圧の維持に必要なアルブミンが減少すると、血管内の水分量が減少するため、血液濃縮状態になります。(くわしくはこちら
この状態で総蛋白濃度を測っても、脱水時と同じで一見タン白質濃度としては高い数値が出るため、よほど低い数値でない限りタン白質不足を判断することはできません。


しかし、他の項目の数値からタン白質不足は明らかでしたので、栄養療法で補っていったところ、3ヵ月後のデータでは総蛋白濃度は逆に低下していたのです。


これは「タン白質が少ないから低下した」のではなく、タン白質の適切な摂取により血中アルブミンが上昇したため、血液中の水分量が増加し、循環血漿量が増加したことにより、総タン白濃度としては低下した、ということが考えられます。つまり、血液濃縮が改善した、と考えられるのです。


この患者様は、栄養療法前は、収縮期血圧が70という低血圧状態であったそうです。
タン白質不足で血液濃縮状態では、循環血漿量が減少していますから、低血圧になっても不思議ではありません。
また、女性に多い低血圧は、全てとは言えないと思いますが、実は「タン白質不足」が非常に深く関係しています。


「冷え性」も全く同じで、循環血漿量の減少により末梢循環が悪くなることが主な原因だと私は考えています。

そして循環血症量の増加とともに(循環血漿量が増加したこと自体を証明することはできませんが)、患者様の病状は良くなっていったと考えられるのです。
ちなみに現在の血圧は90~100くらいだそうです。


PMSがすべてこの患者様と同じような病態であるわけではありませんが、この方の場合タン白質不足が病態の大きな部分を担っていると考えられたのは、カウンセリング時に「とにかく食事でもタン白質を沢山食べるようにしてくださいね!」、という指導をさせていただいたのですが、サプリメントを飲み始める前から、食事でお肉や魚やタマゴなどタン白質をとるように心がけたところ、それだけでも体調は改善してきた、とおっしゃっていたのです。


もちろんタン白質不足だけが原因なのではなく、鉄欠乏やカルシウムなどのミネラル不足もあり、血液の質も低下していましたが、それらも栄養療法によって改善が見られました。
しかし血液濃縮の改善とともにヘモグロビン値の低下も見られ、貧血があったことも明らかになりました。
これらは他に要因が無ければ、最も考えられるのは「血液の材料不足」=「栄養欠乏」が原因なので、栄養療法で引き続き適切に栄養素を補っていけば、貧血も改善し、さらに良い健康状態を得ることができると思います。


この患者様の例は他にも示唆の多いケースでしたので、次回に続きます。

 

2006年10月23日

PMS(月経前症候群)/PMDD(月経前不快気分障害)のチェックリストです。


月経前にいろいろな症状がある方は、以下のリストをチェックしてみてください。


ただし次の条件を満たすものに限ります。



① 月経の前2週間以内(多くは3~10日前)に始まる


② 月経開始後、遅くとも1~2日には消失する


③ 月経後、排卵までの間(多くの場合は月経後1週間)は症状が起こらない



以下の各項目の症状がある場合、


症状なし=0

軽度=1

中等度=2

重度=3


のどの程度に当てはまるかをチェックしていきましょう。



1.うつ状態になる

2.気力がなくなる
3.イライラする
4.不安になる
5.緊張感がある
6.情緒不安定になる
7.悲しくなる・泣きたくなる
8.怒りっぽくなる・攻撃的になる
9.ものごとに興味がなくなる
10.引きこもりになる
11.疲れやすくなる・だるくなる
12.判断力・集中力が低下する
13.眠くなる
14.眠れなくなる
15.性欲が増す
16.食欲が増す
17.自分をコントロールできない
18.下腹部が痛い・重い・張る
19.乳房が張る・痛い
20.頭が痛い・重い
21.手足がむくむ
22.便秘になる



これはアメリカ産婦人科医学会・アメリカ精神医学会の定義を改変したもので、いくつ以上と言う明確な定義はありませんが、2つ以上当てはまればPMSが疑われます。

そして合計点数が高ければ高いほど、重度のPMSだということです。

栄養療法を行うと、多くの場合これらの点数は著名な改善が見られます。


 


 

2006年08月14日

 

「女子は月経に支配され、男子は月給に支配される。」

 


これはあるブログに出ていた「名言」だ。
女性と男性の生理の違いを絶妙に表していると私は思う。
PMSはまさにこの状態だ。
(もうひとつ付け加えれば「人間は血糖値に支配される」!)
私たちが自覚している以上に、人間の精神は、物質的な条件、つまり”脳の生化学的環境”(神経伝達物質やホルモンや血糖値など)に支配されているのだ。
もちろん身体も同じである。


前回まで、PMSとは何ぞや、ということを書いてきた。
私に言わせると、PMSとは「ホメオスターシスの乱れにより、月経のある女性であれば定期的に起こる女性ホルモンの変動というストレスに、身体が適応できなくなっている状態」である。

 

そしてホメオスターシスを乱す最大の原因は、栄養欠乏である。

 

よって、PMSの最も根本的な治療方法は栄養療法である、と言うのが私の意見である。
(もちろん、ホメオスターシスが乱れて起きる病態はPMSだけとは限らない。)

 


ホメオスターシスの乱れによる病態が相当進んでいる場合、食事療法だけでは残念ながら治療効果は望めない。栄養療法の効果は用量依存性であり、効果を出すためには相当量の栄養素が必要だからだ(時として必要栄養所要量の200~300倍にもなる!)。

 


栄養療法を行うにあたっては、まず具体的にどんな栄養素が不足しているのかを知ることが必要だ。


そのためには血液検査が必要なのだが、一般的な医師には栄養欠乏の概念がないので、分子栄養学に習熟した医師が診ることが必要である。その血液検査の結果に基づき、個人差に合わせた栄養素の補充を行っていくのだ。

 


栄養療法の詳しい方法については、個人差にもよるし専門性が必要なためにここでは書かないが(無料相談をご希望の方はこちら)、ホメオスターシスの乱れを引き起こさないために、自分でできること、特に「何を食べるべきなのか」について書いていくことにしよう。

 

 

 

食事について

 


1.まず3食きちんと食べること。


2.タン白質を充分に摂ること。肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などを必ず”メイン”で毎食食べること。なお、鉄を摂るのに一番よい食材は動物性蛋白である。(*タン白質を食べる時には大根おろしを一緒に摂ると消化がよくなる)


3.もちろん野菜や海草、きのこ類なども食べること。


4.炭水化物は少なめに、なるべく精製していない形で摂ること。玄米や全粒粉のパンやパスタ、ライ麦パンなど。(五穀米は消化が悪いのでおすすめしない)


5.砂糖やぶどう糖果糖液糖がが入っている食べ物、飲み物は控えること。


6.加工食品は控えること(添加物が多く栄養素が少ない)。なるべく自然に近いものを食べること。


7.カフェインは控えること。

 

などである。

 


なかなか現実的には難しい面もあるかもしれないが、一番簡単なのはとにかくタン白質を摂るように気をつけることだ。野菜の栄養価は年々下がっているし(だからと言って食べなくていいわけではない)、「栄養密度」で言えば肉は非常に栄養価が高く、効率がいいからだ。


また、これはツライという人が多いかもしれないが、「砂糖」をなるべく摂らないようにすることも大切だ。
(*単純な糖質の摂取は一時的に血糖値を上げるものの、その後低血糖を引き起こすし、インスリン抵抗性を引き起こしメタボリック症候群の原因となる。また、体内で最も脂肪に変わるものは糖質なのだ!)

 


病態がしっかり出来上がってしまった場合には、食事の注意だけでは限界があり栄養療法が必要であるが、日頃の食事をおろそかにするべきではないのは当たり前の話である。


普段食べているものがあなたの体を作っているのだから!

 


その他には

 


1.睡眠をきちんととること

2.規則正しい生活をすること

3.適度な運動

4.ストレスの解消法を工夫する

 


なども当たり前にした方がいいことだ。

 


また、ホメオスターシスの乱れは東洋医学的な病態も引き起こすため、漢方や鍼灸、整体や経絡マッサージなど、経絡の乱れを整える治療も助けになるだろう。

 


以上の注意点は、PMSがある方も、ない方の予防にとっても、助けになると思うので、できることからこつこつと実行していただければいいと思う。

 

 

 

 

2006年08月06日

 

PMSの続きです。


(間があいているため、重複する部分があります。すみません。)

 

 

 


つまるところ、PMSというのは、「ホメオスターシスの乱れ」の表現の一つ、と考えるのが妥当である。

 


そもそも、ホメオスターシスが乱れることによって、様々な症状が起きてくる。


疲れやすい、冷え性、うつ、イライラ、むくむ、発汗、動悸など、多様な症状が起こりうるが、これは例えばエネルギー産生、体温維持や精神活動、体水分の配分などの分野で、恒常性を保つという基本的な人体の働きに障害が生じることにより、起きてくる症状である。

 


例えば、PMSのよくある症状であるむくみや頭痛なども、ホメオスターシスの乱れにより、本来は起こらないかある一定の範囲内に抑えられるべき症状が、ホルモンの影響下である度合いを逸脱して起こってくる、という病態だと言える。

 


つまりPMSとは、ホメオスターシスの乱れにより、月経のある女性であれば定期的に起こる女性ホルモンの変動というストレスに、身体が適応できなくなっている状態、と言える。

 


PMSの症状が強い女性は更年期障害も起こしやすく、産後うつ症も起こしやすいという決まった傾向がある。

どれも患者の体内環境の乱れを現すもので、まったく別の病態ではないのである。

違う木に見えても、もとを辿っていけば、同じ根っこにつながっているのだ。

 


そして悲しいかな、それらの原因を追究しようとしても、器質的な異常が起きているわけではないので、西洋医学的な検査をしても原因が明確になることは少なく、その尻尾をつかまえることはできない。


結果、現代西洋医学的には、対症療法をするしかない、という図式になるのである。

 


問題は、対症療法では運が良ければ症状を抑えることはできても、病態の根本的な解決にはならない、ということである。


これらのホメオスターシスを乱す原因を解決しない限り、まるでしつこい悪友のように、多岐に渡る症状と長々とつきあわなければならない羽目になるのだ。

 


当たり前のことだが、これらの病態改善のために必要なのは、ホメオスターシスの乱れを引き起こす根本的な原因を追求することである。

 


そのホメオスターシスを乱す最大の原因であるのが、前回に書いたが、栄養欠乏である。


現代人の多くは程度の差こそあれ、栄養欠乏状態にある。

 


PMSに特に関係が深いと考えられるのは、鉄欠乏症、カルシウムとマグネシウムの不足、そしてビタミンB群の不足である。


また、精製された糖質、例えばお菓子、砂糖やぶどう糖果糖液糖などの入った甘い飲み物、白米や白パンなどの過剰摂取も、低血糖状態を招き、PMSの症状をひどくする。


(*精製された糖質は、一時的に血糖値を上げるものの、インスリンの過剰分泌を招き、結果的に低血糖状態を引き起こす。)

 


個々の栄養欠乏についてはページを改めて書いていきたいと思うが、他にも、ストレスや、不規則な生活習慣、睡眠不足、カフェインの影響など、さまざまな条件が加わり、その人なりのPMSの病態が形成されてゆくのだ。

 

 

 


つづく。

 

 

2006年08月01日

 

引き続き、PMSの原因について考えてみたい。

 


PMSは、日本では今までそれほど臨床的に重要視されてこなかった。これは、重症例の絶対数がそれほど多くなかったこと、“死に至る病ではない”ということ、症状に個人差が大きく定量的な調査が難しいこと、西洋医学的な治療法が難しい、などの理由があるためと思われる。

 


PMSだけでなく、更年期障害や自律神経失調症、妊娠悪阻(つわり)、産後うつ症なども、患者さん本人は大変につらく、社会的に見ても少なくない影響があるにも関わらず、医学的な深い追求はされない傾向にある。


これは現代西洋医学の欠点の一つで、患者のQOLを明らかに下げる病態であるのに、生命に危機を及ぼさず、しかも“ありふれている”病態と言うのは、まったくもって重要視されないのだ。


例えば女性によく見られる貧血などがいい例で、貧血は女性のQOLを激しく下げるもっとも大きな原因であるのにも関わらず、臨床の現場ではよほどの深刻な状態でない限り放置される。医者自身がその重要性を認識していないからだ。


またこれらの病態は、実際に西洋医学的な薬物治療では治療が難しいため、敬遠されやすいということもあるだろう。

 


これらの病態に共通していることは、すべて「ホメオスターシスの乱れ」の結果、起きている病態であると言うことである。

 


私たちの体には、ホメオスターシス(生体恒常性)という素晴らしい能力が備わっている。というか、ホメオスターシスが生命そのものであると言ってもいいかもしれない。

 


医療関係者なら生理学で習っているはずのことだが、ホメオスターシスというのは、「人体におけるある条件を一定の範囲内に保っておく働き」のことである。簡単に言うと、「バランスを保つ力」と言ってもいいだろう。


例えば、体温や血圧、脈拍、発汗量、ヘモグロビンや白血球などの数、生化学的な諸々の血中濃度(カリウムだの鉄だのコレステロールだの)、ホルモン分泌、エネルギー産生、などなど。

 


人間の生命は、ホメオスターシスという人知を超えた働きによって、星の数ほどもあるこれらの体内環境の微調整が休むことなく精密に行われ、維持されている。


私たちは、無数のホメオスターシスの働きが存在して初めて、存在することができるのである。

 


言い換えれば、60兆個の細胞が各々の本来の機能を果たしていて、これらのホメオスターシスがその機能を存分に果たし、滞ることなく正常に働いていて、体内のあるとあらゆる条件が理想的な範囲内に収まっていていれば、人間は健康なのである。

 


ところが、現実にはそうはいかない。様々な理由で、ホメオスターシスの乱れは起きてしまうからだ。

 


ホメオスターシスの働きを実際につかさどっているのは自律神経とホルモンである。我々が生きていく上で、自律神経とホルモンに悪影響を与える条件は、それこそ数限りなくある。

 


例えば、ストレスは自律神経に大きな影響を与える。その結果、神経機能、免疫機能、ホルモン分泌、消化吸収機能など、様々な機能に影響を与え、ホメオスターシスが乱れてしまう。その結果様々な症状が起きる。

 


そして、ホメオスターシスの乱れを起こす最も大きな原因が、実は「栄養欠乏」なのである

 


あまりにもシンプル過ぎて(?)医学以前の問題だからか、現代人は充分に栄養素が足りていると誤解されているためなのか、医学的にはほとんど無視されているけれど、栄養素の欠乏、もしくはアンバランスが、人体というものの土台を非常に危ういものにしているのである。これは飢えたアフリカ難民においてのみ起きている問題ではない。飽食の現代人にも確実にそれが起きていると言うことが、認識されるべき問題なのある。

 


当たり前の話だが、私たちの体は私たちが食べたものだけで作られている。当然、自律神経そのものや神経伝達物質、ホルモンの材料も栄養素である。これらの材料、例えばタン白質やビタミンB群などは食事から摂れているつもりで実際には十分摂れていないことが多いし、必要量には個人差があるので、必要栄養所要量というわずかな量を満たしているというレベルでは個人や環境により増大した需要をまかなえていないことがあり、神経伝達物質の産生やホルモン分泌に影響を与える。

 


同じように貧血の原因も栄養不足である。タン白質や鉄、ビタミンB群など、「血液の材料の不足」のために、多くの女性の貧血は起きている。血液だけでなく、全身の細胞が正常に新陳代謝され、古い細胞が死んで新しく細胞が生まれるためには、全てその材料となる栄養素が必要なのである。材料が充分になければ、細胞がその数と質を保って産生され続けることは困難である。

 


つまり、老化を含め、臓器の機能低下による失調や病態は、ある一定の割合で「栄養欠乏が原因」なのである

 

 


つづく。

 

 

 

 

2006年07月23日

 

(前回のエントリの続きです)

 


怖ろしいことに社会的にまだそれほど自覚されてはいないが、日本人の食が崩壊し、栄養欠乏が日本人の健康を静かに蝕みはじめたのと、ほぼ時を同じくして、PMSを訴える患者が目立ってきたこと(実数が増えたかどうかは定かではない)は、ただの偶然の一致なのだろうか?

 


私は、非常に関係があると思っている。


全く関係がないと言い切ることのほうが、むしろ不自然だろう。

 


なんでも栄養に結び付けて考えてしまうのは私の悪い癖かもしれないが、栄養欠乏とPMSとは切っても切れない関係である、と私は思っている。


PMSの本態は栄養欠乏である、とまで断言するにはもう少し研究が必要ではあるが、主役に近い役割を担っているのは間違いないだろう。

 


では、一般的には、PMSの原因は何であると言われているのだろうか。

 


現在のところ考えられているPMSの原因は多岐にわたっており、一見どれもあてはまりそうだがどれも曖昧で、はっきりと“ネズミの尻尾”はつかめていない、というのが一般的な見解だ。

 


PMSの研究者であるアメリカのリネヤ・ハーン氏によれば、現在指摘されている原因は、以下の通りである。

 


①    甲状腺機能不全


②    カフェインの摂りすぎ


③    偏った食生活、とくに砂糖、ノンカロリーシュガーの摂りすぎ


④    ビタミン・ミネラルの不足


⑤    エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のアンバランス


⑥    睡眠障害


⑦    適切でない照明・光


⑧    カンジダ症


⑨    運動不足


⑩    ストレス


⑪    食物アレルギー


⑫    寄生虫


⑬    環境過敏症


⑭    水銀製の歯の詰め物


⑮    副腎皮質機能不全


⑯    ひどい肉体的虐待または性的虐待

 


ごらんのように、非常に多く要素が原因として考えられている。

 


リネヤ・ハーン氏は、PMSを「いくつものピースからなるジグソーパズル」と呼んでいる。


PMSはこれらのパズルのピースが複雑に組み合わさって作られている病態であり、しかもそのピースは人によって違うというのだ。

 


ということは、ピースの組み合わさり方によってPMSの症状には個人差があり、そして対処法も違ってくると言うことだ。

 


私としては④の「ビタミン・ミネラルの不足」を、「タン白質・ビタミン・ミネラルの複合的な欠乏」と言い換えたい。


これが、PMSを起こすもっとも基本的な素地となる部分で、それに体質やストレス、睡眠障害などの多彩な因子が加わって、症状を起こす、と考えるべきだと思う。

 


そして、さらに「環境ホルモン」も原因としてリストアップするべきもののひとつだろう。

 


次回はこれらの考えられる原因についてもう少し解説してみたい。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

2006年07月20日

(前回のエントリの続きです。)

 

 


PMSが英国でこれほど社会的に認知されているのは、間違いなく英国ではPMS患者が多いからだろう。


そしてPMSが一端を担うと考えられる女性による問題(犯罪や家庭内暴力など)が、放置できないほど深刻だ、と言うことだ。

 


何故、英国ではこんなにもPMSが深刻なのだろうか?

 


私は、このような英国でのPMSの扱われ方を知ったとき、英国人の方には大変申し訳ないが、英国の栄養状態は相当悪いに違いない、と思わざるを得なかった。

 


以前に、母体の葉酸欠乏により起こる先天奇形である神経管閉鎖障害(NTDs)の問題を書いた。

妊婦に葉酸欠乏があると、発生の過程で胎児の神経管がきちんと閉じないで、二分脊椎症などのNTDsを持って生まれてくる率が高くなる。


NTDsの発生率はその母集団の葉酸の摂取状況を反映しており、つまりはその国の栄養状態を表すひとつの指標であると考えてよいだろう。


そしてNTDsを防ぐために世界的に葉酸を食品に添加するようになる以前に、もっともNTDsの発生率が高かったのは英国だった。


かつての日本での二分脊椎症の発生率は出生1万人に対し2人程度だったが、英国は15人だった。


その後、英国では食品への葉酸添加を行うという政策が取られ、その結果、1人程度に減少している。


その逆に日本では、NTDsはじわじわと増えており、1998年の時点で二分脊椎症は3-4人、NTDsは6人と、なんと先進国では最も発生率が高くなってしまった。


日本でNTDsが増えているのは、日本人の食生活が大きく変化し、栄養状態が着々と悪化している証拠のひとつだと言えるのだ。

 


私は英国に住んだことはないので、英国の食事情を実感としては知らないし、もしそうでないとおっしゃる方がいたら逆にご教示いただきたいのだが、かつての英国における二分脊椎症の発生率を見ただけで、私は英国人の食生活がどんなものなのか(だったのか)、瞬時に理解できた気がした。


ビタミンやミネラルを豊富に含んだ新鮮な野菜や、体を作る基本的な材料であるタン白質や、ホルモン環境を良い状態に保つためにはたらく良質な脂質などの栄養素が不足した、栄養学的に見て貧しい食事であろうということは、容易に想像できる。

 


そして、胎児の発育に支障を来たすほど、低栄養であること(カロリー=栄養ではない!)が当然、母体である女性自身の体にも変調を来たすであろうということは、至極納得のいく話なのだ。


PMSは、その現れに過ぎない、と私は思うのである。

 

 


続く。

 

 

 

 

2006年07月18日

ロンドンには、PMS専門クリニックがある。

 


それを知っただけでもちょっとした驚きだったのだが、それだけではなく、なんと英国では、PMSが殺人罪や放火罪における限定責任能力(*註)の理由として、また、他の刑事上および民事上の犯罪における減刑の理由として、受け入れられているそうだ。

 


(*註:精神遅滞・精神異常などの理由により犯罪者の刑法上の責任を減じること)

 

 

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キャサリーナ ダルトン, Katharina Dalton, 児玉 憲典
PMS法廷に行く―月経前症候群と女性の犯罪

 

 

 

 


これを知ったときは、結構驚いた。


日本ではようやくその言葉が知られつつあるPMSが、英国では30年ほども前から社会的に、女性が起こす問題、極端な場合、犯罪を犯す理由のひとつとして、認知されているということだ。

 


PMSとは、Premenstrual Syndromeの略で、日本語では月経前症候群と言う。

 


月経のある女性なら、程度の差こそあれ、月経前の体の変化を感じたことがあると思う。

 


むくみ、便秘、乳房の張り・痛み、下腹部の張り・痛み、だるさ、疲れやすい、眠気などの、身体的な症状から、イライラする、怒りっぽい、キレる、攻撃的になると言う人や、逆に、うつになる、情緒不安定になる、落ち込む、涙もろくなる、マイナス思考になる、やる気がなくなる、集中力や判断力がなくなる、食欲が亢進する、など、様々な精神的な変動を伴う。

 


重要なのは、そのような症状が「月経が始まる前に症状が反復してみられ、月経後には症状がみられない」ということだ。


月経後にも症状が存在するのであれば、それはPMSの症状ではない。

 


症状があっても軽い程度のものなら、あまり病的とはみなされないが、社会生活や家庭生活に支障を来たすほど、強い症状を持つと言う場合も少なくない。


もちろん、PMSのために自制が効かなくなり、犯罪を犯すような人たちは、その中のほんの一部(ダルトン女史によると0.1%)である。

 


心当たりがある、という方は多いと思うが、その有病率は、報告によってまちまちだ。


10%と言う人から95%と言う人もいる。要するにどの程度から病的とみなすかで違ってくる。


実際には自分の月経周期とその症状の関連性に気付いていない人も多く、自分がPMSだと気付いていない人も多い。

 


それにしても、この数年ほどで、PMSを訴える人は本当に多くなってきた感がある。


英国では法廷でもその存在が取り沙汰されるほど、その存在が知られているPMSが、なぜ日本では最近になって目立ってきたのだろうか?


日本では英国ほど多くなかったPMSが、実際に増えているのだろうか?


それとも女性の社会進出などを背景に、女性たちが今までは我慢していた症状を、表出するようになってきたのだろうか?

 

 

 


続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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未来の医者は薬を使わず、食事を重視し、病気の本来の原因を探し、予防するという、人間の基本を大切にして治療をするであろう。
トーマス・エジソン
(1847-1931)

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クリニック ハイジーア


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