不妊治療成功例 1

主訴

不妊症 (女性  初診時39歳)

子供の頃より、虚弱体質で疲れやすい。
25歳頃から下痢と便秘を繰り返している。
この10年間、月に1回風邪をひく(扁桃腺が腫脹し、38度の発熱がでる)。
強い冷え性。常にヘモグロビン11.0程度の貧血。
低血圧(80/50)、口内炎ができやすい。

既往歴

なし

治療歴

婦人科で不妊検査をしたが、とくに異常なし。
人工授精を3回、その後体外受精を2回行ったが妊娠しなかった。
体調が悪化したため、現在は不妊治療をしていない。
ご主人の精子の運動率は50%。

漢方薬による不妊治療

まず2年間、当帰芍薬散と半夏厚朴湯(エキス製剤)を服用した。
その後3年間、参苓白朮湯、荊芥連翹湯、温経湯を服用した。
漢方薬服用で、卵胞の最大径が17センチ→21センチになった。

治療方針

血液検査の結果から、タン白質・鉄・ビタミンB群・亜鉛などの栄養不足を認めた。慢性的な貧血はそれらの影響があると考えられた。プロテイン・ヘム鉄・ビタミンA・B・C・E・亜鉛の治療用サプリメントによる栄養療法を開始。

分子整合栄養医学による改善データ

 
参考基準値 治療前 3ヶ月後 8ヶ月後 16ヵ月後
(妊娠7ヶ月)
2年後 2年半後
血清鉄 40-180 ! 35 128 123 129 119 147
赤血球 380-500 ! 371 420 395 ! 329 408 382
ヘモグロビン 11.5-15.0 ! 10.5 13.0 12.3 ! 10.7 12.9 12.1
ヘマトクリット 34.8-45.0 ! 33.1 ! 40 37.7 ! 34.5 40.4 37.7
MCV 85-102 89 95 95 105 99 99
MCHC 30.2-35.1 31.7 32.5 32.6 31 31.9 32.1
フェリチン 4.0-64.2 4.4 33.6 49.4 37.1 36.7 60.7

ドクターコメント


この患者さまのように、器質的異常が見つからないにもかかわらず、体外受精や人工授精などを行っても、妊娠しないケースはたくさんあります。
そのような不妊症の患者さまの検査結果では、フェリチン値(貯蔵鉄)が非常に低値を示していることがほとんどです。
貯蔵鉄が非常に低値では、漢方薬で治療してもフェリチン値がすぐには改善しないため、なかなか妊娠ができません。
そのため、漢方治療と並行して、フェリチン値の改善を主とする分子整合栄養医学での治療を施しました。
元気な赤ちゃんを産むための、フェリチン値の理想は100です。
たとえ高齢出産でも、フェリチン値などの数値がよく、栄養状態がよければ、20代のお母さんにひけをとらない元気な赤ちゃんを産むことが可能です。
アメリカでは、「フェリチン値が40以下では妊娠してはいけない」と言われています。着床不全や、早産、流産のリスクを高めると考えられるからです。この 患者さまでは、治療8ヶ月後にフェリチン値が40を超え,体調が改善したとおっしゃいましたが、平均すると40~50くらいに数値が上昇すると、多くの患 者さまは体調が良くなった!と、多くの患者様がおっしゃいます。
そして、その直後に40歳で自然妊娠しました。
いったん、妊娠出産によりフェリチン値は低下しますが、出産後は再び上昇しています。

経過

治療開始1ヶ月後、冷えがよくなり、疲れにくくなったのを実感した。
治療後3ヶ月後、風邪をひかなくなった(それまで毎月1回風邪をひいていた)。
約半年後、月経痛がなくなり、冷えも改善された。
約8ヵ月後、この20年間で一番体調がよい。10代の頃に戻ったように、毎日元気でビックリしている。
治療1年後、体調がすこぶる良く妊娠の準備ができたと感じた。
40歳になり、そろそろ妊娠しようと考えたら、すぐに自然妊娠した。
約2年半後、お子様は1歳。体調は安定している。

 

 

不妊治療成功例 2

主訴

不妊症 (女性  初診時38歳)

いつも疲れている(易疲労)。
5月下旬まで、暖房をつけているほどの、強い冷え性。
お腹周りが特に冷えているためか、便秘で痔もある。
体外受精をおこなうか、迷っている。ホルモン剤を使いたくない。
まず健康体になり、そしてなるべく自然な方法で妊娠を希望するために当クリニックを受診した。

既往歴

なし

治療歴

生理不順であったが、3年前に月経がなくなり、婦人科を受診しホルモン剤で治療した。排卵誘発剤を使い、月経周期を28日にした。
不妊治療は、婦人科でのタイミング法(6ヶ月間)のみおこなった。
不妊症の検査は、すべて異常なし。

漢方薬による不妊治療

当帰芍薬散と、温経湯(エキス剤)を処方。

治療方針

血液検査の結果から、タン白質・鉄・ビタミンB群・亜鉛などの栄養不足を認めた。貧血の傾向もあった。プロテイン・ヘム鉄・ビタミンA・B・C・E・亜鉛・カルマグの治療用サプリメントによる栄養療法を開始。

分子整合栄養医学による改善データ

 
基準値 治療前 治療3ヶ月後
総蛋白 6.7-8.3 7.3 7.3
白血球 3300-9000 6700 9000
赤血球 380-500 433 415
ヘモグロビン 11.5-15.0 11.9 12.6
MCV 85-102 88 93.0
MCHC 30.2-35.1 31.2 32.8
亜鉛 64-111 106 114
フェリチン 4.0-64.2 4.6 30.3

ドクターコメント


改善例1の患者さまと同様、フェリチン値が一ケタでは、漢方薬のみの治療ではなかなか妊娠できません。
この患者さまは、当クリニックを受診される前から、2年以上漢方薬による不妊治療を行っていて、妊娠できなかったために体外受精をするかどうか迷っていらっしゃいました。

ホルモン剤などを使わないで、自然妊娠を強くご希望されていましたので、当クリニックでは漢方薬の治療と並行して、分子整合栄養医学による不妊治療を行いました。
アメリカの不妊治療現場では、フェリチン値が40以下は不妊の原因になるとも言われていますから、医学的な観点から説明すると、少なくとも40以上になるまでは妊娠しにくいと考えますが、この患者さまの場合は治療開始後2か月弱で妊娠しました。
日本の不妊医療の現場では、フェリチン値まで調べることはありませんから、つい見逃されてしまいます。が、不妊で悩む患者さまでは、潜在性鉄欠乏性貧血の治療を施すことで、すぐに妊娠できたケースはよくあることです。
特筆するのは、どんな高齢出産でも、漢方薬の治療に加え栄養療法で産まれた赤ちゃんは、たいへん育てやすく、アレルギーやぜんそくなどの疾患もなく健康であり、また知能が高い場合が多いことです。
第一子を無事出産されたお母さんは、第二子も漢方薬と栄養療法による妊娠を希望されます。

経過

(患者様の感想)
治療開始1ヶ月後、体調はなんとなく良くなった気がする。
治療2ヶ月後、冷えが軽くなった。朝起きて、体調がとてもよく、疲れにくくなった。人工授精をする予定だったが、自然に妊娠したのでビックリした。
約2年半後、お子様2歳。体調は、安定している。
元気な男の子で、歩き始めたのも、言葉をしゃべり始めたのも、平均よりもとても早かった。お腹がすいて、ミルクが欲しい時は泣いたが、それ以外はスヤスヤいい子に寝ていたので、仕事を続けながら、子育てができたのでありがたいと思う。
アレルギーやアトピー性皮膚炎などの問題が無く、元気な赤ちゃんで良かった。
現在は2歳になるが、4~5歳向けの本を読みたがり、また文章もすぐに覚えるほど、とても利発な頭の良い子供に育っていて、本当にうれしい。
二人目も、漢方薬と分子整合栄養医学で、自然妊娠を希望している。

 

 

不妊治療成功例 3

主訴

第二子不妊(女性  初診時38歳)

疲れやすい(易疲労)。月経不順。
摂食障害で、8年間過食と嘔吐を繰り返している。
第一子は、6回目の体外受精で妊娠。
男の子を出産したが、筋肉の発達が十分でなく、3歳の時点で歩行ができない。そのため、言葉の発達が遅い。アトピー性皮膚炎の症状がある。
摂食障害を根本からしっかり治療して、まず健康体になり、そしてなるべく自然な方法で第二子の妊娠を希望し、当クリニックを受診。

既往歴

なし

治療歴

生理不順を、婦人科で排卵誘発剤を使用し、月経周期を28日にした。
摂食障害は、心療内科に通院し、カウンセリングを受けた。

漢方薬による不妊治療

五苓散と、桂枝茯苓丸(エキス剤)を処方。

治療方針

摂食障害のため低体重であり、血液検査の結果から明らかな貧血、およびタン白質・鉄・ビタミンB群・亜鉛などの強い栄養不足を認めた。食事指導、心 理カウンセリングとともに、アミノ酸・ヘム鉄・ビタミンA・B・C・E・亜鉛・クロミウムの治療用サプリメントによる栄養療法を開始。

分子整合栄養医学による改善データ

 
基準値 治療前 治療3ヶ月後
総蛋白 6.7-8.3 7.3 7.3
血清鉄 40-180 ! 22 60
ヘモグロビン 11.5-15.0 ! 10.1 13.0
MCV 85-102 ! 76 ! 82
MCHC 30.2-35.1 ! 28.9 31.0
尿素窒素 8.0-20.0 ! 5.0 12
亜鉛 64-111 ! 57 123
フェリチン 4.0-64.2 4.6 32.1

ドクターコメント


この患者さまは、不妊症のため第一子を6度目の体外受精で出産され、出産後体調が悪く、強い疲労感でほぼ毎日寝たきりの状態でした。
また、産まれたお子様は筋肉が発達しないために、歩行がまったくできない状態でした。担当医の診断は、当初は原因不明でした。(その後、某大学病院の筋外 来で、「筋無力症」と、診断されました。)お子様の治療は整形外科では治療方法がないため、リハビリセンターで週の3回リハビリを行うのみでした。

この患者さまは、8年間の摂食障害(過食と嘔吐)の治療と同時に、二人目の赤ちゃんの自然妊娠を強く希望されていましたので、漢方薬の治療と並行して、分子整合栄養医学による不妊治療を行いました。

お子様も一緒に、ビタミンB群やヘム鉄を中心に、分子整合栄養医学の治療を行いました。その結果、お子様は1ヶ月経過しないうちに、立って歩けるようになり、言葉も発語するようになりました。現在も治療中です。

分子整合栄養医学誕生の地、アメリカでも、栄養が赤ちゃんの発育のみならず、頭脳の発達にも大きく影響することが知られています。

ビタミン大量投与による知的障害児の治療が専門の、セントドミニオン大学精神科のキャップ元教授の名前は、国際的によく知られています。

* 子供の知能テストの結果をIQの段階に当てはめると、70以下で発達の遅れがあるとみなされます。

彼女が治療した一例に、IQが25~30の言葉が不自由な男子児童に300倍のビタミン大量投与(ビタミンBとビタミンC)をおこなったところ、数 日後には口をきき始め、1ヶ月後には読み書きができるようになり、IQが90にあがり小学校に入学できたといった驚く結果が報告されています。

この患者さまのヘモグロビン値は、11g/dl以下でしたらから、貯蔵鉄・血清鉄はすでに消耗され、赤血球そのものに異常が生じている状態です。受 精卵が着床した後、赤ちゃんがお腹の中ですくすく育つには、大量の血液(酸素、栄養など)が必要ですから、妊娠するのは難しいでしょう。健康な赤ちゃんを 授かるには、マスキング(血液濃縮)がない状態で、母体のヘモグロビン値は13g/dl以上が理想です。母子ともに最良の状態を考えるならば、一般的な産 婦人科の基準値は、非常におおざっぱといわざるをえません。

また、海外の多くの文献は、フェリチン値が30ng/dl以下では、貧血の症状がない場合でも、母体や産まれてくる赤ちゃんに重大な障害があることを明らかにしています。

お母さんの栄養状態が、不妊症の原因になるだけでなく、赤ちゃんのカラダと脳の発達にも大きく影響し、一生をも左右することを、知ってください。

経過

治療開始1ヶ月後、体調が改善し家事をこなせるようになった。生理痛がなくなった。
治療2ヶ月後、自然に一人分を食べるとお腹がいっぱいになるようになり、過食が止まった。
第二子の妊娠は、治療が終わってからと思っていたが、思いがけなく妊娠した。第一子の時は、体外受精をしてやっと授かったのに、今回は自然に簡単に妊娠できてびっくりしている。

 

 

 

不妊治療成功例 4

主訴

不妊症 (女性 初診時37歳)

生理不順。もともと虚弱体質。
2~3年前より、子宮筋腫のため強い貧血があり、不妊でもあったため、子宮筋腫核出術を受けた。妊娠できにくい体質だと言われ、体質改善を改善して妊娠するため、また、再び子宮筋腫ができないように体質改善を希望して当クリニックを受診した。

既往歴

子宮筋腫

治療歴

子宮筋腫核出術(開腹)を、半年前に行った。直径7センチのものが一つ、小さい筋腫を合わせると合計8つを摘出した。

漢方薬による不妊治療

芎帰膠艾湯と、牛車腎気丸(エキス剤)を処方

治療方針

腎気(生命エネルギー)の低下があると考えられたため、その治療のための漢方を処方。また、血液検査の結果から、タン白質・鉄・ビタミンB群・亜鉛などの栄養不足を認めたため、プロテイン・ヘム鉄・ビタミンA・B・C・E・亜鉛の治療用サプリメントによる栄養療法を開始。

分子整合栄養医学による改善データ

 
基準値 治療前 治療3ヶ月後
総蛋白 6.7-8.3 7.4 7.5
血清鉄 40-180 ! 35 140
γ-GTP 30以下(女性) 8 14
ヘモグロビン 11.5-15.0 12.5 14
MCV 85-102 88 98
MCHC 30.2-35.1 32.2 30.2
フェリチン 4.0-64.2 10.5 47.0

ドクターコメント


子宮筋腫による月経過多のための「強い貧血」があり、手術後もその影響が残っていました。
(この患者さまのヘモグロビン値は、11g/dl以上ありますから、一般的な産婦人科の基準では貧血とはみなされません。しかし、血清鉄とフェリチン値は かなり低く、強い貧血と考えられます。ヘモグロビン値が12.5と一見正常値を示すのは、血液濃縮(=ドロドロ血)によるマスキングが起こっていると推測 できます。)

子宮筋腫そのものを漢方で治すことは難しいですが、手術後の回復を目的とした、血を補う処方、腎気を高める治療を行いました。
また、子宮内膜をよい状態にして妊娠しやすくするためにも栄養は非常に大切であり、漢方治療とともに栄養療法を行いました。
初診時の検査データは、子宮筋腫の影響もあって、やはりフェリチン値が非常に低値でした。また、血清鉄も基準値を下回っていますので、ヘム鉄の補給だけでなく、たん白質の治療レベルの補給も必要と考えます。
手術後で子宮に傷があるため、正常に妊娠するためには特に子宮内膜の状態を整えておくためにも、たん白質の補給は必要不可欠です。
また、ヘム鉄を中心に粘膜(子宮内膜)のコラーゲン合成には、ビタミンCやビタミンAの治療レベルの補充もおこないました。
* ビタミンAやビタミンEは、食物由来の天然に限ります。天然型や合成の脂溶性ビタミンは、治療効果はありません。副作用も、あります。

上記の患者さまのような子宮筋腫や、子宮内膜症、子宮腺筋症などを現代西洋医学で治療しても、月経量過多による強い貧血があるために、不妊の患者さまが多く見受けられます。

1日あたりの失われる鉄量

 
バランスのとれた食事から摂取する鉄の量
(10~15㎎)
汗・尿・大便などから排泄される量 差し引き
(男性、閉経後の女性)
1回の月経で失われる鉄量
(約20~30㎎)
差し引き
(有経女性)
十二指腸からの鉄吸収率(約10%)+ 1~1.5 ㎎ - 約1㎎ ±0 - 平均1㎎ - 約1㎎

上記のように、有経女性では1回の月経で約30ミリリットルの血液が失われますので、よほど徹底した食事管理でも行わない限り、健康な女性でも貧血は起こしやすいと考えます。
子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などによる月経過多がある場合は、80ミリリットル以上の出血がありますから、貯蔵鉄だけでなくヘモグロビンや血清鉄の値までも「からっぽ」になるのは当然でしょう。
不妊症の患者さまでは、このように強い貧血があり、そしてさまざまな不定愁訴を訴えます。
貧血の症状というと、一般的には、めまい・動悸・ふらつきなどを思い浮かべますが、疲れやすい、冷え性、頭痛、脱毛、生理痛、イライラなどの精神症状などの不定愁訴は、貧血の症状でもあることを知ってください。
また、女性の若さ・美しさも、「鉄欠乏=貧血」と関係します。
お肌のくすみ・たるみ・しわなどの老化現象は、鉄欠乏性貧血と断言します。
一般的に「コラーゲンは美肌効果がある」と言われていますが、コラーゲンを摂取しても、コラーゲンはそのまま吸収されません。
残念なことに、コラーゲンは腸でいったん分解され、「アミノ酸」の形で吸収されます。
その分解されたアミノ酸から、体内でコラーゲンを再合成する必要がありますが、その時に必要なのは、ビタミンCと鉄です。
そして、皮膚の合成そのものにも鉄が材料です。
不妊のみならず、女性の美しさ・若さ・元気にも深く関係していることを知ってください。

このように、「不妊症治療の最優先は、貧血の治療である。」といっても過言ではありません。
女性特有の子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症などで、月経量過多が続いている患者さまは、早め早めの治療をお勧めします。

経過

栄養療法を開始後、2週間ほどで疲れやすさが改善。朝が爽快で、元気を感じる。
月経周期が32日から28日になった。基礎体温の低温期と高温期の温度差がはっきりし、排卵期のおりもの(頚管粘液)が増えた。
治療開始後3ヶ月目で自然妊娠。

株式会社HYGEIA